研究課題/領域番号 |
26420142
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
永井 二郎 福井大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70251981)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 沸騰 / 固液接触 / MHF点 / 噴霧・噴流 / 可視化 |
研究実績の概要 |
昨年度に改良製作した噴霧冷却時の固液接触状況可視化装置では、過熱面中心1点にφ1mmのシース熱電対を設置し、局所的濡れ開始時の現象観察と表面温度測定を同時に行った。今年度は、さらに表面温度測定点を5点に増やすと同時に、シース径をφ0.25mmと極細タイプに変更し、局所的濡れ開始が噴霧ノズル直下からの距離に対してどのように変化するのかを実験的に調査した。その他の実験条件は、ほぼ昨年と同様で、試験液体はHFE-7100(沸点約60℃)、透明なサファイア板初期温度は約250℃、流量密度は97~263L/m^2s、液温は室温、である。その結果、局所流量密度がほぼ均一な領域内においても、局所的濡れが開始するのはノズル直下が最も早く(最も表面温度が高温で濡れが生じ)、流量密度だけではなく衝突角度(ひいては、過熱面に対する液滴衝突速度の鉛直成分)が濡れ開始に影響を及ぼすことが示唆される。その他、ノズル直下からの水平方向距離が大きくなるにつれ局所的濡れ開始表面温度は低下することや、過熱面上の三相界線が周囲に拡大する際に、表面温度は一旦低下した後わずかにわずかに温度回復し、その後また低下する傾向があることが分かった。 伝熱解析について、過去に作成した液滴衝突時の過熱面内非定常熱伝導解析プログラムを改良し、表面境界条件として大きく膜沸騰領域・三相界線近傍領域・濡れ領域の3つの領域の熱伝達境界条件を入力できるように改良した。 過熱面サイズを大型化(φ180mm)し試験液体を水に変更し初期温度約400℃に設定可能な実験装置は、昨年度に設計作業を一旦は終えていたが、高温のオイル漏れ防止の設計し直し等により製作完了には至らなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
過熱面サイズを大型化(φ180mm)し試験液体を水に変更し初期温度約400℃に設定可能な実験装置は、製作を進める段階で新たな問題(高温のオイル漏れ防止、装置全体重量、等)が分かり、設計を全面的に見直したため製作完了には至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
1)昨年度作成したHFE-7100用の装置により、実験条件を変更させて追加の実験を行う。 2)これまで得られた実験データや他の文献知見を用いて、過熱面内の非定常熱伝導解析を行う。必要であれば、さらにプログラムの改良を行う。 3)過熱面サイズを大型化(φ180mm)し試験液体を水に変更し初期温度約400℃に設定可能な実験装置は、今年度前半に完成させる予定。より汎用的な知見取得を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
新規実験装置の製作が完了するに至らなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度に新規実験装置製作時に使用する。
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