研究課題/領域番号 |
26420160
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
伊東 弘行 神奈川大学, 工学部, 准教授 (30372270)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | バイオマス / ブリケット / 燃焼 / 端面 / 一次元 |
研究実績の概要 |
本研究は、形状および性状を比較的揃えて製造できるというバイオマスブリケットの特長を活かした、燃焼炉のハンドリング向上が期待できるバイオマス固体の新規燃焼方式を提案するものである。そのため本研究では、バイオマスブリケットの一端から着火し、固定炭素分および揮発分を同時に一次元的に燃焼させる新規提案燃焼方式の吹き消え限界、燃焼負荷や燃焼効率などの燃焼特性を調べ、本提案燃焼方式の実燃焼器への適用可能性を確認することを目的としている。 昨年度は円柱、円筒形状のブリケット製造条件を確認し、ブリケットの見かけの拡散率への密度や水分の影響を調べた。また、ブリケットの一端から着火し、気相燃焼および表面燃焼を確認した。本年度は、円柱および円筒形状ブリケットについて、定常な端面燃焼が可能な条件が存在するか否かを確認するため、燃焼炉内へのブリケット供給速度を変えて燃焼実験を行い、本研究で実施した範囲では、円柱形状ブリケットでは定常燃焼実現が困難であることがわかった。円筒形状ブリケットでは、密度によらず(1100kg/m3および1300kg/m3)適度なブリケット供給速度(4mm/min)では、定常燃焼が可能な条件が存在することが示唆された。一方、ブリケット供給速度が小さい場合(2mm/min)には消炎に至り、大きい場合(6mm/min)には定常に至らなかった。定常な燃焼速度を呈する際には、火炎がブリケット供給口近くと炉内ブリケット先端の2箇所に分断し、その間の比較的長い区間でチャーの表面燃焼が進行する特徴的な燃焼形態を呈するのが観察された。解析の結果、チャー燃焼区間を短くしコンパクトな燃焼を行うには、チャー燃焼区間の空気流速増大あるいは温度上昇が有効であることがわかった。定常燃焼が可能な条件を見つけられたことは、燃焼負荷や燃焼効率、さらには実燃焼器への適用を考える上で非常に重要な成果である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ブリケット製造用金型、燃焼炉に設置する大径ブリケット用装置、強制着火用装置の製作、およびブリケット製造条件確認実験、熱拡散率計測実験、燃焼実験実施と、ほぼ予定通りの進度で実施されている。 今年度の目標とした、(1)円筒ブリケット製造装置の製作、製作条件の確認、(2)ブリケット熱拡散率への密度の影響確認、を実施した。着火については、着火条件の確認よりも定常な端面燃焼条件の確認を優先させるため、強制着火により着火条件を同様とした。(3)ブリケット燃焼速度へのブリケット密度および形状の影響確認を実施し、定常燃焼が可能な条件を確認することが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度に引き続き、定常燃焼が可能な条件に与える因子について、その影響を調べる。空気流速、ブリケット供給速度の吹き消え限界や燃焼速度への影響を調べる。燃焼排ガス分析を行うことで、燃焼効率について考察を行う。また、チャー燃焼部へ2次空気を供給してチャー燃焼を促進するなど、実燃焼器への適用可能性についても併せて検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
長い柱状ブリケットを供給可能な燃焼実験装置、およびチャー燃焼に2次空気を供給する装置を製作するよう予定しているが、次年度予算(600,000円)と繰越分を合算して多く残した方が研究遂行上、有益であると判断したため。
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次年度使用額の使用計画 |
長い柱状ブリケットを供給可能な燃焼実験装置、およびチャー燃焼に2次空気を供給する装置を製作する。残分があれば、その他バイオマス試料や分析用消耗品等を購入する。
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