本研究は、形状および性状を比較的揃えて製造できるというバイオマスブリケットの特長を活かした、燃焼炉のハンドリング向上が期待できるバイオマス固体の新規燃焼方式を提案するものである。そのため本研究では、バイオマスブリケットの一端から着火し、固定炭素分および揮発分を同時に一次元的に燃焼させる新規提案燃焼方式の吹き消え限界、燃焼負荷や燃焼効率などの燃焼特性を調べ、本提案燃焼方式の実燃焼器への適用可能性を確認することを目的としている。 昨年度は円筒形状のブリケットにて燃焼実験を行い、定常燃焼が可能な条件のあることが示唆された。燃焼形態として、ブリケット供給口付近とブリケット先端の2箇所に火炎が形成され、チャー燃焼区間が長く伸びた状態で燃焼した。 今年度は、まず着火時の高温空気供給によるブリケット予熱の影響を排除するため室温空気中にて着火するよう変更し、予熱のない条件でもほぼ定常な質量減少速度を実現できることを確認した。質量減少速度(燃焼負荷)はブリケット密度の小さい方が大きく、何れの密度においても供給空気流量の増大とともに質量減少速度は増大してピークを示した後に減少し、さらに空気流量を増大すると吹き消えが生じることが確認された。吹き消え限界はブリケット密度によらず0.4Nm3/min(平均0.87m/s)付近であった。燃焼効率は、空気流量の変化に対して質量減少速度と同様の傾向を示し、98%程度と良好に燃焼する範囲が見られ、ブリケット燃料の揮発分を有効に燃焼できることが示された。また、この範囲では良好な燃焼効率を維持しながら燃焼負荷(質量減少速度)を変化させて運転することが可能であると考えられる。チャー燃焼部の長さを短くするため、チャー燃焼部に2次空気を供給する実験を行ない、2次空気供給によりチャー燃焼を促進し、質量減少速度の増大とチャー燃焼部長さの短縮が可能であることが示された。
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