本研究では,伝熱と弾性変形を連成させた熱弾性場,あるいは伝熱と流れを連成させた熱対流場などの基礎的なマルチフィジックス問題に対して,合理的な多目的形状最適化の解法を提案し,その妥当性を検証することを目的とした.平成26~28年度の主な研究実績は次の通りである. 1.熱弾性場問題では,温度変化に基づく熱変形と外力に基づく力学的変形に対して重み付き線形和で表した目的汎関数を設定し,それを最小化するための剛性最大化を目的とした多目的形状最適化の解法を試みた.問題を定式化し,形状修正の感度関数の導出,プログラムの開発を行い,簡単な数値例を通じて解法の妥当性を示した.これらの研究成果を国内会議にて口頭発表し,雑誌論文へ投稿した. 2.自然対流場問題では,部分境界,あるいは部分領域における温度分布時刻歴をコントロールする形状同定問題の定式化を行い,形状修正の感度関数の導出,解析プログラムの開発を行って,数値解析結果より解法の妥当性を確認した.また,自然対流場の熱伝達境界の部分境界における放熱量最大化を目的とする形状最適化問題に対して,問題の定式化を行い,形状修正の感度関数の導出,解析プログラムの開発を行って,数値解析結果より解法の妥当性を確認した.これらの研究成果を国内および国際会議にて口頭発表し,雑誌論文へ投稿した. 3.平成28年度の主な実績として,強制熱対流場の部分領域における温度分布時刻歴をコントロールし,熱対流場全体での散逸エネルギーを最小化する多目的形状最適化を試み,問題を定式化し,形状修正の感度関数の導出,プログラムの開発を行い,簡単な数値例を通じて解法の妥当性を示した.その研究成果を国内会議にて口頭発表した.
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