研究実績の概要 |
固体燃焼あるいは固体ガス化からのPMの生成には,金属微量元素(灰成分)を起源とする経路が存在する.燃焼あるいはガス化において,金属微量元素の挙動を明らかにすることはPM2.5の生成特性を知るために重要である.今年度は特に熱分解およびガス化に着目して,バイオマス種も対象に含めて,ガス化に及ぼす金属微量元素の影響を明らかにした.実験より得られた結果を以下に示す. (1)バイオマスガス化の場合,金属微量元素Kによるガス化速度の促進効果はFeのそれと比較して90倍であった. (2)金属微量元素(灰成分)により,ガス化初期においては細孔がふさがれているが,ガス化率の進行とともに触媒効果により急激に細孔表面積を発達させる.チャー中に均一分散している担持形態の方が, ガス化速度への寄与が大きい. (3) ガス化の進行に伴い米松チャーの比表面積は増加する.炭素転換率Xの増加に伴う比表面積の分析結果から,木質系バイオマスのガス化には Random poreモデルを用いることが適切であるといえる. (4)バイオマスタールの主成分(量)は,酢酸,グルコース,カテコール,フェノール類であり,PMの原因となる多環芳香族の一次タール成分はなかった.
|