研究課題/領域番号 |
26420168
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
森 博輝 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50451737)
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研究分担者 |
長嶺 拓夫 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (00323379)
佐藤 勇一 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (30134828)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 振動低減 / 局在化 |
研究実績の概要 |
周期性の強い構造物(周期構造物)では,系内の不均一によって振動モードの局在化が生じ,特定の部位のみが大きく振動するモード形状となることがある.本研究では,局在化が発生すると振動エネルギーが特定部位に集中することを利用し,局在化を意図的に発生させて振動エネルギーをダンパ設置位置に集中させることで効率的な振動低減を図るとともに,振動低減メカニズムの解明および設計指針の構築を目指している. 本年度は,まず,本研究で解析対象としている床から分布剛性で支持された弦の解析モデルを作成し,解析手法の整備を行った.弦を質量の無い弦と集中質量でモデル化した離散モデルについて,自由振動と強制振動の運動方程式を導出し,予備解析を実施した.その結果,離散モデルによって振動モードの局在化に関する解析が可能であることが確認できた.今後,質量の分布した連続体として弦をモデル化した連続体モデルを用いた計算と併せて解析を進める. 実験装置については,予備実験に使用していた装置の本体を一部改良することで実験が可能であることを確認し,上記の解析手法を用いて計算された結果と実験結果の比較を行った.その結果,自由振動および強制振動のいずれについても,解析結果と実験結果のよい一致がみられ,本研究で用いる手法の妥当性が確認できた. また,離散モデルを用いて,局在化を発生させた位置にダンパを設置した系の振動特性を解析した結果,局在化を発生させない状態でダンパを設置した系よりも高い振動低減効果が得られるという結果が得られ,実験結果ともよく一致した.今後は,解析面から振動低減メカニズムの解明を図る予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
解析対象である床から分布剛性で支持された弦の解析モデルについて,離散モデルの運動方程式が問題なく導出されており,装置も順調に準備できている.また,離散モデルの計算結果が実験結果とよく一致していることから,解析を用いた効率的な研究が進められる見通しが立っており,研究が順調に進展していると判断できる.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,おもに連続体モデルの解析により,局在化が発生するとダンパ性能が向上する理由を明らかにする予定である.連続体モデルによる解析は順調に進むものと考えているが,万が一問題が生じた場合でも,上記の離散モデルを用いた解析が可能である.さらに,離散モデルを用いて系の複数点に外力が作用するときの応答について調べるとともに,局在化を利用して振動低減を図る際の最適な付加質量およびダンパ減衰係数を明確化する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
実験装置の一部について仕様が決定していない部分があり,手配を次年度に持ち越すこととなった.なお,本計画変更に伴う研究遂行の遅延はない.
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次年度使用額の使用計画 |
手配を次年度に持ち越した実験装置の一部については,仕様決定後に予定通り使用する. 次年度に実施する研究では,解析における計算量が多くなる予定であり,その計算に利用できる高性能の計算機および計算機関連消耗品の購入を予定している.また,共同研究者間で行う研究打合せに必要な旅費,成果を発表するための論文投稿料としても当該研究費を使用することを計画している.
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