研究課題/領域番号 |
26420169
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
佐藤 勇一 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (30134828)
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研究分担者 |
長嶺 拓夫 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (00323379)
森 博輝 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50451737)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 風力発電 / 自励振動 / 流体関連振動 / デフューザー |
研究実績の概要 |
本研究は、風力を利用した振動式発電装置の軽風用化を目的としている。現状では風力発電において必要風速を確保することが一つの課題となっている。その課題を解決する一つの手段として本研究ではディフューザーを導入するものであり、これにより風速の利用可能範囲が拡大することが期待できる。目的は一般に風力発電に利用されている風速(平均6 m/s以上)よりも低い風速(軽風1 m/s~2 m/s)で発電する装置を開発し、その設計基準を構築するものである。研究対象の振動式発電装置は、空気の流れにより発生する渦を励振力として利用して平板翼を振動させ発電に利用するものである。振動発生のメカニズムとしては自励振動現象を利用しているため効率良く大きな振動を発生させることが期待できる。本年度の研究成果は、平板翼振動式発電装置にディフューザーを導入し、空気流れの速度をディフューザー内部で増速することにより、現在よりも、さらに低い風速にて発電を可能となることを明らかにした。具体的には、ディフューザー内部の流れ場を実験的に可視化するとともに熱線風速計を用いて風速を計測した。さらに数値シミュレーションを実施し同様に増速することを確認している。その結果ディフューザーを用いることにより風速が増速していることを明らかにしている。また、設置した平板翼の挙動の計測を行うと共に発電実験を行った。これにより、発電量が増加することも明らかにしている。現在は引き続き数値シミュレーションにより ディフューザーの形状について検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度は下記の分担で研究を推進した。 (1)「ディフューザー内部流れと平板翼の振動特性の把握」(担当:佐藤勇一)実験結果をもとに各パラメータの平板翼の振動特性に与える影響を検討した。ディフューザーの大きさ、開き角度が風速に与える影響を計測し流れ場の観測を実施した。平板翼の配置(迎え角、間隔、翼枚数、取付け位置)について2枚までの実験を実施した。 (2)「ディフューザー内での平板翼の振動実験」(担当:長嶺拓夫)必要な各パラメータについて実験を行い平板翼の特性を検討した。発電に適する電気回路および各構造パラメータの条件を実験的に検討した。 (3)「流れ場の可視化およびデータ計測」(担当:森博輝)流れ場の可視化を行い実施し、数値シミュレーションと比較が可能となるデータを計測した。特に渦と平板翼の振動特性との関係についてデータを計測した。数値シミュレーションを行い流れ場における増速を実験と比較し検討した。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度以降は下記の分担で研究を推進していく。実験と数値計算および理論解析を実施して発電装置の特性を明らかにしながら設計に必要となるパラメータの影響を把握する。 (1)「理論解析および論文作成」(担当:佐藤勇一)実験結果をもとに構築したモデルについて理論解析を行い振動メカニズムの解明を行う。 (2)「振動式発電装置の発電実験」(担当:長嶺拓夫)実験結果の知見をもとに振動発電を行いその結果を検討する。振動発電に適する各パラメータの条件を実験的に検証する。 (3)「流体力の評価」(担当:森博輝)流れ場の可視化結果を基に流体力を評価する。 (4)「振動式発電装置の仕様検討」(担当:佐藤勇一、長嶺拓夫、森博輝)研究結果をもとに振動式発電装置の仕様を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
流れ場の可視化実験の消耗品の使用額が若干本年度の予定より少なく済んだため。
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次年度使用額の使用計画 |
可視化実験とシミュレーション結果を比較することを主体として研究を実施する。これにより、膨大なデータ量が発生するため、多くの記憶媒体が一時的に必要となる。これらを詳細に検討し、各パラメータの影響を整理するとともに設計に必要な条件を明らかにする予定である。
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