研究課題/領域番号 |
26420172
|
研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
田代 発造 富山大学, 大学院理工学研究部(工学), 教授 (80179689)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 機械計測 / デジタル画像計測 / 津波 / 消波ブロック / 防災 |
研究実績の概要 |
東日本大震災以降、津波に関する研究は様々な方向から行われている。津波によりケーソン式防波堤(高さ8m,厚さ20m)は決壊、破損した。津波の破壊力を低減するための消波ブロックとしてテトラポットや傾斜堤消波ブロックがあるが、津波によりそれらを飛散する結果となっている。津波を堰き止めるのではなく、破壊力を打ち消す構造の消波ブロックの検討も必要である。 本研究は、消波ブロック設計のための水理実験において、時間的に変化する水面の高さを3次元で測定する手法の検討とその測定精度の向上を目的としている。基本原理はステレオ写真法であり、一般には物体を2台のカメラで撮影し、同一点のずれから物体上の座標を得るものである。本研究では基準となる格子線を物体の前後で移動させて、予め撮影しておくことで、その近辺に置かれた物体の同一点の座標を求める方法である。基準を置くことで、レンズの歪の影響などを取り除くことができる。 さらに複数のカメラを用い、測定精度を高めるとともに、測定面が消波ブロックの死角になる問題も解決できる。高速度カメラを用いることで、時間的な変化もとらえる。 26年度において(1)2台の高速度カメラを用いた測定装置の製作を行ったことと(2)基本的解析プログラムの作成を行った。27年度には測定装置の調整や(3)基本的解析プログラムの修正を行った後、(4)複数のカメラを使用する装置の改良によって測定の精度や感度向上を行い、それに合わせた(5)応用解析プログラムの作成を行う。28年度には(6)津波の条件や消波ブロックの形状を様々に変えた水理実験を行う。 本26年度は予定通り(2)までを行い。測定の感度や精度の確認を行った。また、水面上の目印となる浮遊物がつながるなどの問題と、水理実験における測定感度等の要求が高くなっており、今後それらの問題を解決する必要がある。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
26年度に予定していた(1)2台の高速度カメラを用いた測定装置の製作を行うことと(2)基本的解析プログラムの作成を行うことができた。基準となる格子線を物体の前後で移動させる装置の製作、および予め撮影する手順等について確認することができた。その結果、必要とされた最低の測定感度1mmは達成できた。 解析は2台のカメラで行ったが、装置は初めから4台のカメラを付けることを想定したものとした。したがって、27年度に予定の(4)複数のカメラを使用する装置の改良はほぼ終えている。さらに、消波ブロックの無い状態での水面形状の測定に関する実験を行うことができた。
|
今後の研究の推進方策 |
新たな問題点として、水面上で目印となる浮遊物が連なることが分かり、その問題をソフトウエアにより解決しなければならないという追加プログラムが必要となった。これは27年度予定の(3)基本的解析プログラムの修正である。また、予想通りであるが2台のカメラでは消波ブロックの陰に浮遊物が存在することがあり、(4)複数のカメラを使用する装置の改良に伴う解析プログラムの作成を27年度に行わなければならない。さらに、水理実験における測定の感度向上の要求は高まり、そのために画素数の多いカメラは必要になると思われる。あるいは(5)応用解析プログラムの作成により行われる画素以下を読み取る(サブピクセル処理)により感度の向上を検討しなければならない。複数台のカメラの使用は測定の精度を高めるもので、これも27年度に予定されている内容である。 28年度は(6)津波の条件や消波ブロックの形状を変えた水理実験を行う予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
学会での発表の機会を逸したことによる旅費とその費用が無かったこと、調査旅費の代わりに地元での講演会、展示会があったため、旅費としていた予算を使わなかった。また、水理実験装置の完成が遅れたため、その取り付け部材の一部を購入するに留まったためである。
|
次年度使用額の使用計画 |
研究成果の発表のための旅費とその費用に使用する。また、装置取り付けの部材の購入や装置改良に伴う光学部品や電気部品に使用する。
|