研究課題/領域番号 |
26420176
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
安達 和彦 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30243322)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 機械力学・制御 / 振動学 / 振動発電 / 圧電コンポジット / ねじりひずみ |
研究実績の概要 |
平成26年度は、ねじりひずみを利用する振動発電の実現可能性を実験的に検証することを目的とし、1次試作としてトーションバー型の圧電振動発電機構を試作し、発生電圧の実測評価を行った。また、平成27年度に試作するコイルバネ型の圧電振動発電機構の基本設計に取り組んだ。 1本のアルミ製丸棒の表面に3枚の圧電コンポジットMFC(Macro Fiber Composite)(米国Smart Material社製)をそれぞれ異なるスパイラル角(45度±5度程度)でスパイラル状に二液性エポキシ接着剤で貼付し、発電性能比較用のトーションバー型の発電機構を試作した。発電性能の評価は、丸棒にねじり方向の荷重を付加し、その際の発生電圧を実測することで比較・評価した。今回の1次試作の発電機構では、発生電圧の値に明確な差が観られなかった。異なるスパイラル角で貼付したMFCが1枚ずつであったことと、ねじり方向の荷重付加が不十分であったことが原因と考えられる。 コイルバネ型の圧電振動発電機構の基本設計として、円形断面を有する一条のコイルバネ形状体に対して、コイルバネの変形量とコイル表面のねじりひずみの関係式を整理した。続いて、有限要素解析ソフトAbaqusを用いて円形断面を有する一条のコイルバネ形状体の有限要素モデルを構成し、コイル変形シミュレーションを行った。コイル変形シミュレーションで得られたコイル表面のねじりひずみは、先に整理したコイルバネの変形量とコイル表面のねじりひずみの関係式に従うものとなり、この関係式がコイルバネ型の圧電振動発電機構の基本設計に使えることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成26年度1次試作のトーションバー型発電機構を用いたねじりひずみによる振動発電の検証実験では、発電性能評価のための比較パラメータとして、圧電コンポジットを丸棒表面に貼付するときのスパイラル角だけでなく、圧電コンポジットの貼付ピッチと接続方式(直列、並列)、圧電コンポジットの周方向位相を計画していたが、1次試作の遅れによりスパイラル角の比較のみにとどまった。さらに、丸棒にねじり方向荷重を付加する機構に不備があったため、充分なねじり方向の荷重付加ができず、スパイラル角の違いによる発生電圧の値の差が明確とならなかった。 一方で、コイルバネ型の圧電振動発電機構の基本設計については、設計に使用するコイルバネの変形量とコイル表面のねじりひずみの関係式の妥当性が確認でき、ほぼ予定通りの進行となった。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は、平成26年度に実施できなかった1次試作のトーションバー型発電機構を用いたねじりひずみによる振動発電の検証実験を行い、初年度の実施計画の遅れ分を取り戻す。また、当初から計画していた2次試作であるコイルバネ型の圧電振動発電機構の試作を並行して進め、早期に発電性能評価が実施できるようにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年1月の時点で研究代表者が平成27年4月に所属変更することが決まったことにより、年度当初の研究計画策定時に想定していなかった業務が多数発生し、結果的に平成27年1月以降は計画通りの研究実施ができなかった。さらに、1次試作自体も遅れていたことが加わり、年度当初に計画した予算から未使用分が生じる結果となった。
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次年度使用額の使用計画 |
「今後の推進方策」で述べたように、平成27年度は平成26年度実施計画の遅れ分を並行して実施する計画であるので、平成27年度に繰り越した分は平成26年度実施計画の遅れ分の実施で使用する。
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