被削材が固定され工具が回転する一般的な加工状態の場合について,時間遅れを考慮したリーマ加工における穴多角形化現象の解析モデルを新たに提案し,6枚刃の等分割刃リーマについて解析を行った.工具固定-被削材回転の場合と同様に[刃数の整数倍±1]に相当する5,7,11,13角形などが不安定化し,多角形化現象が発生することが確認された.一方で,工具に固定された回転座標系で運動を記述することになるため,前向きと後ろ向きの振れ回りで固有振動数が異なることと,[刃数の整数倍-1]角形では前向きの振れ回りで,[刃数の整数倍+1]角形では後ろ向きの振れ回りで不安定化することから,角形数によって生じる振動数が一様でないことが確認された.さらに,6枚刃の対策工具である隣り合う切れ刃の間隔が50-60-70-50-60-70degおよび45-60-75-45-60-75degとなっている2種の不等分割リーマについても解析を行い,工具回転の場合でも等分割の6枚刃で発生しやすい5角形や7角形の不安定度が低減されることを確認した. また,工具回転数が小さいときの準静的な解析結果が,安定・不安定の指標になることから,これを用いて最適な切れ刃配置について検討し,既存の対策工具よりも大きな抑制効果が得られる角度配置があることを確認した. さらに,5枚刃と4枚刃のリーマについても,等分割の場合の解析を行い,不等分割刃の効果についても確認した.この場合も等分割刃の場合は[刃数の整数倍±1]角形が発生することを確認した.また,不等分割刃による抑制効果は,6枚刃と比較すると,刃数が少ない分切れ刃配置の自由度が少なく,多角形化の抑制効果も小さくなることを確認した.
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