研究課題/領域番号 |
26420182
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
綱島 均 日本大学, 生産工学部, 教授 (30287594)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 鉄道 / 安全性 / 状態監視 / メンテナンス / レール / 振動 |
研究実績の概要 |
車輪がレールで案内されて走行する鉄道にとって,軌道や車両の安全管理は重要であり,その状態を把握し,事故に至る前に補修する予防保全が重要な課題となっている。そのため,軌道の状態を常時あるいは高頻度で監視することが望ましい。現在,軌道の検査方法として,保線係員によるものや軌道検測車,レール探傷車などの検査用車両によるものがある。しかし,これらの手法は高精度な軌道検査が可能だが,コストや維持管理などの点から走行頻度は非常に制限される。さらに,地方鉄道では施設の経年劣化が著しい一方で,費用の確保や技術力の維持が難しく,十分な検査が行えない事業者も少なくない。 このような問題に対して,一般の車両に簡易なセンサ類を付加したプローブ車両を用いることで,営業運転を行いながら軌道の状態監視を行う方法が考えられる。これまでに,車両と非接続で軌道の状態診断を行える可搬型プローブ装置が開発され,鉄道事業者協力のもと長期的な試験を行い,測定データの再現性,軌道異常の発生箇所の特定可能性が示されている。 本年度は,可搬型プローブ装置を改良した小型レール診断装置と,レール状態診断ソフトウェアを用いた軌道状態診断システムを開発し,1つの地方鉄道路線に対して診断ソフトウェアによる診断を実施した。特に,振動加速度のRMS値の他にウェーブレット変換を使用して,より正確な診断が可能なシステムを開発した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)実車両の動揺データ収集 銚子電鉄および江ノ島電鉄において動揺データ収集を実施した.(達成率100%) 2)車体動揺からの軌道高低変位推定 推定アルゴリズムを,小型レール診断装置で計測した車両の動揺データからレールの状態を診断できるレール状態診断ソフトウェアに実装し,その有効性を地方鉄道路線のレール状態診断において検証した.(達成率100%) 3)実測データとの比較による検証 トラックマスターを用いて計測した現場計測データとの比較検討を行った.(達成率100%)
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度に引き続いて,実車両の動揺データ収集を継続的に実施する.さらに,レール診断の高精度化を目指してモデルベース推定手法や統計的処理方法の検討を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
雇用した大学院生へ支払う謝金が,実験回数の変更により当初見込みより,少なくなったため.
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度において雇用する大学院生へ支払う謝金に充当する.
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