研究実績の概要 |
平成28年度の研究成果 平成28年度は,主に,質量切り替え機構を有するダンパ(メカニカルスイッチングダンパ,MSDD)の製作および実験に取り組んだ.前年度まではクラッチ機構が原因で実験装置に不具合が生じていた.今年度はこの問題をクリアし,実験装置を製作し,実験を行った.その結果,前年度までに得られたシミュレーション結果と同様に,共振峰が切り取られるような形で制振が可能なことが確かめられた.
研究期間全体を通した研究成果 本申請課題では,申請者がこれまでに行ってきた,ピエゾ素子を用いたスイッチングシャントダンピングに関する研究で得られた知見を基に,メカニカルな高性能制振器の開発を目的として研究を行った.ここではクラッチ機構を応用した質量切り替え型ダンパについて検討した.ダンパは二つの質量とばねからなる.二つの質量はクラッチ機構により一体となって運動したり,切り離されて独立に運動したりできるようになっている.二つの質量のうち一方を,ばねを介して制振対象に取り付け,この質量の変位に基づいてクラッチのオンとオフを切り替える.このダンパの制振性能を,まずは数値シミュレーションによって検討した.その結果,通常よく用いられるダイナミックダンパとは異なり,周波数応答関数において,制振対象のみの場合の共振峰が切り取られたような形で制振されること,また比較的パラメータ変動に対してロバスト性があることが確かめられた.また上記のように,実験を行い,シミュレーションと同様な制振効果があることが確かめられた.このように,本申請課題で開発したMSDDは高い制振性能を有することが確認された.
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