研究実績の概要 |
磁性エラストマーで作られた部材の弾性率や固有振動数が,磁場印加の影響を受けてどのように変化するかを調べるための,試料となる磁性エラストマー製弦の形状を検討するとともに,弦製作に用いる型の製作を行った.また磁性エラストマーを固化する際に混合する磁性微粒子の配置を制御するための磁場印加方法について検討し,使用する永久磁石の磁場分布を測定した.試料の製作においては,気泡の混入が無く,且つエラストマー母材に混合する磁性微粒子の沈澱が発生しないようにするための,製作方法に関するノウハウを確立した.これらのことにより,含有している磁性微粒子の配置が異なる,磁性エラストマー製の弦試料を製作することが可能になった. 弾性率の測定は汎用の引張・圧縮試験機を用いて行う.そのため,試料への磁場印加に用いる永久磁石により,試料固定に用いる治具が磁化され,それにより意図せぬ磁場が試料に印加されることが考えられる.そこで磁性エラストマー製弦の弾性率を測定するために,引張・圧縮試験機で用いる試料固定用の治具を,非磁性材料であるアルミニウム合金で製作した. 同じ形状を有する非磁性エラストマー製弦と,磁性エラストマー製弦を製作し,それぞれの密度と,無磁場下の引張試験における縦弾性率の測定を行った.その結果,密度と縦弾性率はともに,磁性エラストマーの方が,非磁性エラストマーよりも大きくなることが明らかになった.また磁性エラストマー製弦の引張方向に対して,直交する方向に磁場を印加した条件下で引張り試験を行った結果,この磁場印加条件においては,磁性エラストマーの弾性率に,磁場印加有無による顕著な差は見られないことが明らかになった.
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