研究課題/領域番号 |
26420201
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
李 在勲 愛媛大学, 理工学研究科, 准教授 (00554411)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 歩行ロボット / 筋骨格構造 / 弾性調節機能 |
研究実績の概要 |
本研究は人体の関節周りに多く存在する筋肉による弾性調節機能について,歩行運動での役割をロボット工学の視点から考察し,人体の筋骨格構造に基づいた新しい歩行ロボットの開発に応用することを目的とする.平成26年度に行われた研究の実施状況は次のようになっている. 人体の筋骨格構造に基づいた歩行メカニズムの初期モデルとして,胴体と2本足の3リンクで構成される準受動歩行ロボットを設計した.各足は弾性調節機能を持つ2本のワイヤによって駆動する筋骨格構造を持っている.各ワイヤは減速機のないモータからの張力を各足に伝達し歩行運動を行う.現在は実験システムが制作されて制御ハードウェアの開発を行っている. 初期モデルロボットの各足は人体の筋肉のような弾性要素を持つアクチュエーターが両側に装着されている構造である.この基本駆動ユニットについて,各アクチュエーターをばねと減衰要素で表現した動力学モデルとシステムの弾性モデルを導出した.また,そのモデルを基に計算機シミュレーションを行い,システムの運動特性や弾性調節機能による変化を確認した.特に,アクチュエーターに非線形弾性がシステムの弾性調節に重要な役割を行っていることが解明された.そして,その結果は開発された駆動ユニットの試験機を用いた実験によって確認された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請時の研究計画通り,人体の筋骨格構造に基づいた初期モデルの歩行ロボットが設計され,これから制御器を開発して実験を行うことを準備している.また,各関節のための柔軟な駆動ユニットについてのモデリングおよび動力学シミュレーション,そして本研究で開発した実験装置を用いた検討が行われ,これからの制御アルゴリズムと最終モデルの歩行ロボットの開発に活用される予定である.
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度には、開発中の初期モデルの歩行ロボットを完成させ,歩行実験を行う. 実験装置のパラメーターを反映した計算機モデルを用いて歩行シミュレーションを行い,実験とシミュレーションの結果を比較しながら歩行運動において弾性調節機能の影響を調べる.また,多数の駆動機を用いた弾性調節機能を基にフィードフォワードとフィードバック制御を兼用する新しい制御アルゴリズムを開発し歩行ロボットに適用させる. 今年度の後半には初期モデルの結果を基に,最終モデルの歩行ロボットのための脚部を設計する.膝を有する足部の弾性モデルを誘導して弾性調節機能について調査する.その結果を最終モデルの歩行ロボットの設計製作に応用し開発を行う.最終モデルの歩行ロボットについて計算機を用いた歩行運動のシミュレーションを行い,次年度の歩行実験を準備する. 本研究の最終年度には,開発予定の筋骨格構造に基づいた新しい歩行ロボットを改良しながら,人間の歩行運動を考慮した歩行アルゴリズムを適用させて歩行実験を行うことで研究目的を達成させることを計画している.新しい歩行アルゴリズムの開発には計算機を用いたシミュレーション結果や人間の歩行運動を計測したデータを比較するなど統合的に研究を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
国際学会に投稿する論文の英文校正を行わなかったので謝金を使用しなかった.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に投稿する論文の英文校正や実験装置を開発するための費用に使用する計画を持っている.
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