本研究の目的は,重量物の運搬や組み付け作業等を支援するパワーアシストシステムが,作業者にとって使いやすくなるように,人間の手先インピーダンスを考慮した制御手法を開発することにある. 平成28年度は,構築した実験システムで人間の手先インピーダンスモデルを得るためのデータ取得および解析を計画していた.並行して,人間の手先インピーダンスと強い相関関係がある前腕部の筋電位の情報から機械側のパラメータを自動調整するアルゴリズムの確立もすすめた.前年度に引き続き,1軸の実験装置におけるリーチング動作を対象とした検討を行ったが,今回あらたに操作者に手先位置と目標位置とをディスプレイで拡大提示することで,要求精度を明確に指示できるよう工夫した.その上で,操作性の高い機械側パラメータが設定できていると前腕の表面筋電位が極小値をとることがあきらかになり,その成果を学会で口頭発表した.さらに,その性質を利用した機械側パラメータの自動調整アルゴリズムを考案し,その有効性を確認した結果を学会発表すべく,発表論文を提出している. また,手先インピーダンスモデルについては,モーションキャプチャシステムによる上肢姿勢の実時間処理プログラムを構築した段階であり,モデルの構築までは至っていない.
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