特性変動や個体差が存在する高分子アクチュエータに対して、ロバストな制御を実現することを目指し、集積化したイオン導電性高分子・貴金属接合体(Ionic polymer-metal composite: IPMC)アクチュエータの制御系設計方法の構築に取り組んだ。セルラーアクチュエータ制御として提案されている確率的ON/OFF制御を適用し、制御性能を数値解析および実験により評価した。具体的には、以下の通りである。 (1) 制御性能の評価(数値解析・実験): セルラーアクチュエータ制御手法を適用し、シミュレーション・実験により力制御および変位制御の性能を評価した。素子の数による制御性能の違いや、カウンターイオンの種類による特性の違い、故障した素子がある状況での制御性能の変化について検証を行い、特性変動や個体差がある状況下においても、構築した制御系が有効に機能することを確認した。また、コントローラのゲイン調整による、消費パワーと制御性能への影響について評価し、ゲインの調整方法の指針を得た。 (2) 集積化素子作製法の検討: レーザ加工技術を用いて、素子の表面電極のパターニングを行い、1枚のフィルムで素子を並列に複数配置した集積化素子を試作した。試作した素子を用いて実験を行い、発生力および変位の制御が可能であることを確認した。
|