研究課題/領域番号 |
26420211
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
篠田 淳一 明治大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (60266880)
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研究分担者 |
萩原 一郎 明治大学, 公私立大学の部局等, 教授 (50282843)
ディアゴ ルイス・アリエル 明治大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (20467020)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | リバースエンジニアリング / ペーパークラフト / STL / セグメンテーション / 展開図 / 三角形メッシュ / 実物モデル / 3Dプリンター |
研究実績の概要 |
計測から得られるノイズの多いデータに対して、1)面生成、2)メッシュ生成、3)メッシュの簡略化、4)シャープな線の再成、5)メッシュの良好化の各アルゴリズムについて、それぞれ精度の向上を図ることができた。さらにこれらのシステム化を行った。その際、プログラムの構造を見直し、より拡張性のあるプログラム構造への改良を図った。 セグメンテーションに関しては、ガウス写像を用いるセグメンテーション方法やプラトニックソリッドを用いるセグメンテーション方法を改良して、円や円筒面などの2次曲面を同定する効率を向上させ、全体の曲面から自由曲面と分離するシステムを構築した。さらに分離された自由曲面に対しは、特徴線を把握して各可展面へ分割するアルゴリズムを構築した。 各セグメントを複数の帯状領域に分割し、各帯状領域に含まれる三角形要素の法線ベクトルが同一となるように各三角形要素の位置を変換すると、形状が複雑な場合では、帯状領域で交差が生じるものが発生してしまうことがある。そのため、そのような交差が発生する場合に対して交差を解消するアルゴリズムを開発した。 糊代の出力に関しては、以前のアルゴリズムでは、境界線を基に正三角形として生成されていたが、それでは、展開図を生成する際に糊代が交差してしまうことがあったため、形状に応じて糊代の大きさを制御するアルゴリズムを開発した。 レーザースキャン等による計測データに対応するために、位置合わせのアルゴリズムの精度向上を図り、特徴部分が曖昧なデータに対してもある程度対応ができるようになった。さらに、動画像または複数の静止画像に対する位置合わせに対しては、画像データに内包される焦点位置の移動情報を基にそれらの影響を考慮したアルゴリズムを開発した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計測から得られるデータの処理については、1)面生成、2)メッシュ生成、3)メッシュの簡略化、4)シャープな線の再成、5)メッシュの良好化等、これまで既に多くの実績があり、それを基に順調にシステム化を行うことができた。 また、セグメンテーション技術や、各セグメントから帯状領域を生成する技術に関しては、これまでの知見を生かすことができ、それを基に精度向上化が実現できた。 さらに、展示会に出展することにより、多くの企業が関心を抱いてくれて、その内のいくつかからはテスト用のデータを提供いただき、それが計画通りにアルゴリズムの信頼度を向上させるために大変役に立った。 以上のように、今年度は、おおむね計画を遂行することができた。これは、分担者を含めた3人がそれぞれの役割を全うし、しかも3人の連携がうまくいった結果であると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
初年度で得られた、ノイズの多いデータに対する、1)面生成、2)メッシュ生成、3)メッシュの簡略化、4)シャープな線の再成、5)メッシュの良好化の結果に対して、処理速度を向上させるために並列化のアルゴリズムを実装する。 セグメンテーションに関しては、次の帯状領域の生成と関連して、展開図生成の適したセグメンテーションアルゴリズムを開発する。それには、点群を平滑点、折目点、角点、境界点に分類し、角点と境界点のみを利用してセグメントの境界を生成する。さらに境界が不明瞭な場合の対応アルゴリズムも併せて開発する。加えて、ガウス写像を用いるセグメンテーション方法やプラトニックソリッドを用いるセグメンテーション方法との得失を調べる。 帯状領域の生成に関しては、初年度で帯状領域が交差しないように帯状領域を生成するアルゴリズムを開発したが、今年度は、各セグメントに対して、後の展開図生成に適した帯状領域、例えば、帯状領域の数ができるだけ少なくなるように帯状領域が生成できるようにアルゴリズムの改良を図る。 入力モデルと結果の実物モデルの誤差評価は、表面積を用いるものであったが、帯状領域の交差解消アルゴリズムを導入した後でも満足のいく結果が得られた。今年度は、体積を用いた誤差標準を構築し、誤差のより少ない実物モデルが生成できるようアルゴリズム全体の改良を行う。さらに、グラフ理論を援用することにより、最適な作成手順が実現できるようなアルゴリズムの構築を目指す。 動画像または複数の静止画像からのデータ生成については、対象物と背景とを分離する問題、光線による同一色の認識度低下の問題や特徴点の認識不足による面データの欠落の問題を解決する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、予定していた海外出張の代わりに国内で国際会議を分担者が主催したため、そちらにまわしたため、旅費が予定より少なくなった。当初、システム開発用に人件費を計画していたが、A-STEP(シーズ顕在化タイプ)実物コピーモデルを出力する次世代リバースエンジニアリングシステムの開発”(平成25年1月~12月) で開発したソフトをべースにすることにより予定の作業量を減らすことができた。これにより、人件費を減らすことができたため。
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次年度使用額の使用計画 |
米国の機械学会のASME 2015 Symposium on Origami-Based Engineering Designに3件発表予定。従って予定より旅費を多く使用する計画とする。また、システムは、当初、ウインドーズ版だけを考えていたが、システムように人件費を当初より増やしマック版も開発し、より多くのユーザーを獲得するように努める。
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