研究課題/領域番号 |
26420213
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
橋本 雅文 同志社大学, 理工学部, 教授 (10145815)
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研究分担者 |
菅沼 直樹 金沢大学, 機械工学系, 准教授 (50361978)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | マイクロモビリティ / アクティブセーフティ / レーザスキャナ / 環境センシング / 移動物体認識 / 協調型認識 / 車両異常挙動センシング |
研究実績の概要 |
高齢者ドライバの安全快適な運転を支援するアクティブセーフティセンシングに関して,自車両のセンシング情報と周辺車両や環境インフラからのセンシング情報を連携・協調させることで,高精度の車両周辺環境認識,車両の異常走行事象認識するセンシング手法を確立するため,平成27年度は,これらの認識アルゴリズムの開発と性能評価実験を行った.主な実績を以下に示す. 1.周辺環境認識-環境センシングシステム-:車載センサとしてマルチレイヤレーザスキャナ(レーザレーダ)を対象として,そこから得られる車両周辺のセンシング情報をもとに移動物体の位置や速度,大きさを推定するシステムに関して,昨年度構築したセンシングアルゴリズムのリアルタイム化を図り,実験プラットフォームに実装して評価実験を行った.また,このセンシングシステムの性能を3つの学外展示会で公開(デモ)した. 2.周辺環境認識-協調環境センシングシステム-:上記環境センシングシステムの機能を拡張し,自車両や周辺車両から得られた周辺環境の移動物体に関する認識情報をクラウド上に集約することで死角を軽減して移動物体を認識するシステムを開発した.そして,実験プラットフォームに実装して評価実験を行った.また,上記環境センシングシステムと協調環境センシングシステムの性能をテレビ取材を通じて公開(デモ)した. 3.車両挙動認識-車両異常事象センシングシステム-:上記環境センシングシステムの機能を拡張して,車両の急旋回や蛇行運転の異常挙動を検出するシステムを開発した.そして,実験プラットフォームに実装して基本性能を確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1.周辺環境認識-環境センシングシステム-:当初の予定であるシステムのリアルタイム処理は実現できたものの,評価実験を行った結果,センサを搭載する自車が高速走行する場合や不整地上を走行する場合,低精度の内界センサやGNSSシステムを装備する場合,現在の手法では静止/移動物体検出性能が低下することが確認された.検出性能低下を防ぐアルゴリズムは構築したもののその性能評価が不十分である.. 2.周辺環境認識-協調環境センシングシステム-:当初の予定であるリアルタイム化の目途はたっているものの実験プラットフォームへの実装が不十分である. 3.車両挙動認識-車両異常事象センシングシステム-:当初の予定通り,車両の急旋回や蛇行運転の異常挙動を検出するアルゴリズムは構築できた.
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度の成果を基礎に,次年度は以下のように,周辺環境認識,車両挙動認識の性能向上とともに情報処理のリアルタイム化を図り評価実験を行う. 1.周辺環境認識-環境センシングシステム-:平成27年度に問題点が明らかとなったセンサを搭載する自車が高速走行する場合や不整地上を走行する場合,低精度の内界センサやGNSSシステムを装備する場合に生じる静止/移動物体検出誤差を低減する方法を確立する. 2.周辺環境認識-協調環境センシングシステム-:リアルタイム処理の実現とこれまでの予備実験により明らかになった非GNSS環境においても高精度の協調認識を実現する方法を検討する. 3.車両挙動認識-車両異常事象センシングシステム-:車両の急旋回や蛇行運転のみならず二輪車の転倒や人物の転倒など,交通環境における自動車,二輪車,人物などの移動物体に対する様々な異常挙動を検出する方法を検討する. また,最終年度である平成29年度は,これらのセンシングシステムの高信頼度化を図り,マイクロモビリティと電動車いすとからなる実験プラットフォームにセンシングシステムを集約し,道路環境での実験により本システムの性能評価を行う予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初,平成27年度末に購入予定していた実験プラットフォーム整備用電子部品(消耗品)が不要となったため,10,811円の次年度繰越が生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
国内外の学会での成果発表旅費と学会参加費,共同実験のための国内旅費,評価実験やプログラム開発補助のための謝金,実験プラットフォーム改良・維持のための機械材料や電子部品の購入費(消耗品費)に主として用いる.
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