当初の計画では,課題の最終段階として,モーションキャプチャ装置を使用し測定実験を行う予定であった.そこで,平成29年度におけるモーションキャプチャ装置の貸与について,異動前所属機関の教員の協力を得た上で,申請課題の実施期間の延長を行い,引続き実験を行った. まず,製作した走行面において,2輪ロボットの試験走行を行った.曲面上の直進、低速における旋回および操舵角変更時の安定性の確認を行い,製作した曲面上において2輪ロボットが転倒せずに走行可能であるのが確認された.つぎに,走行面の形状を測定するため,曲面上に0.1m間隔で反射マーカを設置し、3Dモーションキャプチャを用いて反射マーカの位置を計測した.地表マップ作成ツールを用いて,上述の計測されたマーカの位置座標データを地形データへ変換し、さらにその地形データを,3次元メッシュ処理システムを用いてSTLデータへ変換し,シミュレータへ取り込んだ. 上述の走行面の数値データをもとに,曲面上における走行シミュレーションと実走行の比較を行った.直進走行の比較結果から,一定方向に軌跡がずれるのが分かった.これは,本シミュレータが運動学のみを考慮しており,曲率の大きい面を走行する場合に発生する車輪のスリップを再現できないためと考えられる.また,旋回走行の比較結果から,走行距離の増加にともない,進行方向面において大きな誤差が発生するのが分かった.この主な原因は,2輪ロボットの操舵機構のバックラッシであり,曲率の大きな面において,車輪が横方向の力を受け,操舵角が変化したためと推測される.上述のように,走行実験における問題点が明らかとなり,その対策が必要となった.
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