研究課題/領域番号 |
26420224
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
安藤 芳晃 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 准教授 (30323877)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | FDTD法 / CIP法 / CIP-BS法 |
研究実績の概要 |
平成26年度は、地球周辺環境の電磁環境問題における複雑性を考慮した、効率的な数値解析手法の検討を行った。特に有限差分時間領域(Finite-difference time-domain)法およびConstrained interpolation profile (CIP)法におけるサブグリッド技術の導入、およびCIP basis set (CIP-BS)法におけるTF/SF境界の開発を行った。 FDTD法のサブグリッド法については、2007年にXiaoらが開発した有限積分法に基づく手法を適用し、これまでサブグリッド法に生じていたレイトタイム不安定性が生じないことを確認した。 CIP法におけるサブグリッド法については、2次元問題に適用してその性能を検証した。通常、サブグリッド法ではメイングリッドとサブグリッドのグリッド比を大きくすると誤差が急速に増大するが、開発したサブグリッド法ではほとんど誤差が増大しないことが確認できた。したがって、不規則性が大きい地球電磁環境問題には適した手法と言える。 CIP-BS法については、任意入射波を実現するTotal-field/scattered-field(TF/SF)境界技術を開発し、その誤差を検証した。誤差はTF/SF境界そのものによる誤差は極めて小さく、数値解法に固有の問題である数値分散の誤差の方が支配的であることがわかった。 これらの検討により、計算精度、計算量から、広く用いられているFDTD法が比較的有利であることがわかった。しかし、FDTD法は数値分散による誤差が大きいことから、高次スキームを用いた手法が必要とも言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画書に記した、地球環境の持つ複雑性を考慮した数値解析手法の検討はほぼ行えている。ULF/ELF帯の解析手法として着目していたADI-FDTD法については、CIP-BS法の方が適した面も多くあることから、先にそちらの検討を行った。CIP-BS法の精度・効率の検証についても行えており、概ね計画通り進捗していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度の研究において、VLF/LF帯の解析ではFDTD法が有効な手法であることがわかったが、一方で数値分散による誤差が大きく、全地球規模の解析を行う際は、特に位相誤差により大きな誤差が混入される。そこで、平成27年度では、この位相誤差を改善する高次差分スキームのFDTD法の検討を行う。高次差分スキームは様々なステンシルが存在することから、計算速度・メモリの観点から有効と思われるものについて、数値計算により性能を検証してゆく。 ULF/ELF帯については、ADI-FDTD法よりCIP-BS法の法が有効と考えられることから、この手法をULF/ELF帯電磁波伝搬解析へ適用できるよう試みる。特に、周波数領域解析への適用、また、非正方格子への適用などを行い、CIP-BS法を拡張してゆく。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画の段階として、基礎技術を開発して中規模問題へと適用を予定しており、中規模問題のための計算機の予算を計上していたが、実装が年度終盤となったため、中規模問題への適用は期をずらして平成27年度早々に実施する予定とした。中規模問題は、単一CPU,およびGPUでの処理を考えており、単なる計算パラメタの変更で済むことから、大きな問題ではないと言える。
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次年度使用額の使用計画 |
平成26年度購入予定であった、中規模問題を解く計算機を平成27年度に購入する。他は当初計画どおりを予定している。
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