研究課題/領域番号 |
26420224
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
安藤 芳晃 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 准教授 (30323877)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | VLF帯大地電離層導波管伝搬 / FDTD法 / 多目的最適化 / 電子密度同定 / CIP法 / 地圏内電磁波伝搬 |
研究実績の概要 |
Very Low Frequency (VLF)帯大地-電離層導波管伝搬の数値シミュレーション手法の確立、および、受信波を用いた電離圏電子密度の高度プロファイルの同定問題の確立を行った。同定問題においては、実際の観測で同定問題を解いたときに必要となる、(1)各電子密度状態における同定可能範囲、(2)適切なパラメタとしての高度方向および電子密度の離散化、観測点の設置密度について、数値計算による検証を行った。これによって、高度方向の離散化は10km程度で良いこと、雑音が存在する状況では50km以内毎に観測点の設置が必要なことを明らかとした。 また、電子密度擾乱が存在するときの変動について、変動強度だけでなく変動が起きる受信領域まで着目して、多目的最適化問題を解く手法を確立した。これによって、現実の環境において観測可能性の高い擾乱を探索することが可能となった。 ULF帯地圏内伝搬の数値解析については、CIP法に着目し、サブグリッド法を開発している。これにより、地圏内の構造を正確にモデル化しながら、低計算資源での計算を可能としている。3次元のアルゴリズムも既に完成しており、精度評価を残すのみとなっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
地球スケールの電磁環境問題を取り扱う、最も重要な点である下部電離圏の電子密度をVLF帯大地-電離層導波管伝搬を用いて調査する手法については、静穏時電離圏状態を調べる手法はほぼ確立できたと言える。また、擾乱が発生しているときに、確率的に擾乱位置を調べる手法も確立されつつある。 ULF帯電磁波の計算手法についてはCIP法などの手法に着目して検討をすすめており、精度と効率の観点での比較検討ができつつあると言ってよい。
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今後の研究の推進方策 |
VLF帯大地電離層導波管伝搬を用いた電子密度同定問題については、擾乱が存在する場合の同定手法の確立を行う。3次元シミュレーションをMPIを用いて確立し、送受信パス上に擾乱がない場合も含めて擾乱問題を解く予定である。 ULF帯地圏内伝搬シミュレーション手法については、実際の地圏内構造を実装して、当初の目的通りケーススタディを行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
VLF帯大地-電離圏導波管伝搬による電子密度同定問題を解くには、最適化問題に用いるパラメタの選択が重要であることが判明した。そこで、平成27年度においては、問題を2次元に限定し、パラメタ選択と解の精度評価を中心に行ったが、2次元問題では既存PC上のGPUで計算が可能であったためである。3次元問題に拡張するには新たな設備の購入が必要となる。
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次年度使用額の使用計画 |
VLF帯大地-電離圏導波管伝搬を3次元でシミュレーションし、またそれを用いた電子密度同定問題を解くが、3次元への拡張ためには、複数台のGPUを搭載した計算機を、複数台並列に用いた計算が必要となり、その購入に使用する予定である。この計算機購入は当初計画していた沿うものとなる。また、並列計算におけるデータ転送が遅い場合は、高速の接続を可能とするInfiniBandでの接続を予定しており、そのアダプタカード、スイッチ、ケーブル等の購入を行う。
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