研究課題/領域番号 |
26420238
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
猪原 哲 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90260728)
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研究分担者 |
寺東 宏明 佐賀大学, 総合分析実験センター, 准教授 (00243543)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 放電プラズマ / キャビテーション / OHラジカル / ワンパス処理 / 処理水 / 導電率 / 発光スペクトル |
研究実績の概要 |
本研究は,工場廃水などで1 日当たり数百トンのオーダーで排出される被処理水を高速で処理(ワンパス処理)できる処理装置を開発するための基礎的研究である.現在,様々な現場において廃液が排出され,それらの中に含まれる細菌や難分解性化合物の処理に多大な場所と費用が費やされている.この問題を解決するために本研究課題は,キャビテーション・放電プラズマ併用型の処理リアクタを採用し,低コストな設備で,大容量の被処理水を高速にワンパスで処理するための手法を構築することを目的としている.また,本処理方式におけるラジカル生成定量測定と,細菌(ここでは大腸菌を採用)の殺菌メカニズムについても検討する. H27年度は,ワンパス処理を可能にするための条件,リアクタ設計条件などを決めるための指針となる基礎的データを取得することを目的に研究を進めた。印加電圧,電源周波数,処理水の導電率をあらゆる値に変化させ,そのときの放電電力,プラズマ生成の有無,プラズマからの発光スペクトルを観測した。その結果,プラズマ生成が可能な条件が明らかになり,そのときのOHラジカルの発光スペクトル強度からOHラジカルの生成状況がおおよそ推測できるようになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究はワンパス処理の実証であるが,これを実現するためには可能となる条件を絞り込む必要がある。プラズマを使った水処理においては,処理水の導電率がプラズマ生成において重要な条件になる。検討の結果,この導電率の変化のもとで,印加電圧,電源周波数,放電電力(消費電力)などのパラメータが,プラズマ生成にどのように関連しているかということが,ワンパス処理のための放電リアクタ設計において重要であることが明らかになった。本年度は1年間かけてこの基礎的データの取得に費やし,ワンパス処理の実証実験は来年度へ持ち越すこととした。
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今後の研究の推進方策 |
H28年度は,H27年度に取得した基礎的データを元にし,ワンパス処理のための放電リアクタ設計を行い,ワンパス処理の実証実験を実施し,ワンパス処理が可能となる条件を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は,基礎的データの取得を実験的に実施し,ワンパス処理の実証実験をH28年度に持ち越したため,電源製作に必要な支出が減ったために残額が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額分については,次年度分の請求分とあわせて電源製作のための部品購入費や実験実施のための消耗品などに充てる予定である。
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