最終年度の平成28年度は、MHz駆動高電力密度DC-DCコンバータに適用する制御ICの作成を行った。また、これと並行し、駆動可能周波数は作成した制御ICには、劣るが、基本的な動作検証を行うためのディスクリート回路の作成およびこの制御回路を適用したDC-DCコンバータの動作検証を行った。制御ICの製作は、リコー電子デバイス㈱のシャトルサービスにて作成を行い、基本的な動作確認まで行う事ができた。基本動作では、スイッチング周波数5MHz程度までの動作確認を完了した。 また、ディスクリート回路を用いた提案制御の有効性の検証では、スイッチング周波数200kHzでの検証ではあったが、フライバック型DC-DCコンバータへ適用を行った。 その結果、①絶縁形DC-DCコンバータへの適用、②従来のコンバータでは、制御モードを切り替えるなどの必要があった、連続モードと不連続モードそれぞれでの制御をシームレスに実現可能とした点、③実験条件下において、偏差1%以内という高精度な出力電圧のレギュレーション性などを示した。 研究期間3か年間を通して、計画に対して、やや遅れ気味の進捗となったが、制御ICの製作およびその検証および、制御手法の検証も伴わせて行う事ができた。今後本提案制御回路の応用を進めていき、環境負荷の少ない電力変換器の開発を進めていく予定である。また、その成果を世界最大のパワーエレクトロニクスに関する国際会議APECなどで発表するとともに、IEEEの英論文誌などに投稿を行っていく予定である。
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