H無限大制御器を用いて風力発電機の軸ねじれ振動を抑制するための制御手法を開発した。開発した制御器は、風車ピッチ角制御器と発電機の電機子電流の瞬時値を制御することにより大幅に軸ねじれ振動を抑制可能である。開発された本制御器は、ピッチ角と電機子電流の周波数帯域を考慮しており、軸ねじれ振動抑制に効果的な制御入力が利用される。すなわち、突風の発生により機械的入力トルクが急変しても先ずは高速応答可能な電機子電流を調整することで機械的入力トルクの急変に対応可能であり、続いてピッチ角制御により発電電力の定常値を制御可能である。 風力発電機の発電電力の平滑化と軸ねじれ振動抑制を同時に達成可能な制御器として今回開発した制御器が有効である。さらに、強風速時の風車動作領域の拡大を提案しており、今後の風力発電設備の導入拡大に有用である。従来の風力発電システムでは、強風速が想定される場合は風力発電機を停止しており、風エネルギーを有効利用できなかった。今回提案する手法は、風車の安全性を考慮して発電電力の低下はあるものの強風速時においても安全に風力発電機を動作させて発電する事が可能であることから今後の風力発電機の制御方法として重要な技術となりうる。 今後の研究展開としては、風力エネルギーから得られる発電電力を最大化するために、風速に応じた風車の最適回転速度を決定することであるが、風車パラメータ等の変動により最適回転速度が変動するため、パラメータ同定手法を用いて適応的に最適回転速度で風力発電機を動作させることである。さらに、風速センサを利用することが困難な場合は、風速センサを用いないで最適動作点を求める手法を開発することが重要な課題である。
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