研究課題/領域番号 |
26420242
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
五箇 繁善 首都大学東京, 理工学研究科, 准教授 (80305416)
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研究分担者 |
和田 圭二 首都大学東京, 理工学研究科, 准教授 (00326018)
垣尾 省司 山梨大学, 総合研究部, 教授 (70242617)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | SAW / 電力変換回路 / 次世代パワーデバイス / マルチレベルインバータ |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,次世代電力変換回路として期待されるマルチレベルインバータへの適応を目指し,スイッチングデバイスの多接続時における高信頼性動作および配線数低減を実現するための新たなゲート駆動回路の提案である.本研究では弾性表面波(SAW)デバイスを用いる事で,マルチレベルインバータのゲート駆動回路に求められる電気的絶縁と多チャンネル接続を可能とする.H28年度は,H26~27年度で得られた研究成果を基に,①専用設計したSAWフィルタ,②インバータ回路の試作,に関しての研究を行った. まず,①の専用設計したSAWフィルタに関し,リチウムナイオベート基板上に作製したSAWフィルタの各種特性を詳細に測定・評価した.絶縁破壊電圧は,民生用途を念頭に安全係数2を掛けた600Vを想定し,SAWフィルタの入出力間距離を0.2mmと設計したが,絶縁破壊試験により想定の2倍近い1,100V以上の絶縁性能を得た.したがって,SAWフィルタをパッケージングする際の封止条件を最適化することで,入出力間距離をさらに低減し,伝搬遅延時間を半減させる余地のある事が明らかになった. 次に,②のインバータ回路の試作実験を行った.目標としているマルチレベルインバータへの適用を考慮し,4チャンネルのスイッチングデバイスが必要とされる単相3レベルインバータの動作検証を行った.上述した専用設計の周波数帯域別SAWフィルタを4つ用い,4チャンネル分のゲート駆動波形をRF信号の周波数多重化により同軸線1本で伝送した.実験結果より,単相3レベルインバータは正常に動作し,伝搬遅延時間も当初の想定を大きく下回わる事が示された.立ち上がり・下がり合計での伝搬遅延時間はおよそ1us程度で収まっており,本提案法の有用性と多チャンネル化への実現可能性を示す事が出来た.
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