研究課題/領域番号 |
26420248
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
谷内 利明 東京理科大学, 工学部, 教授 (90349845)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 太陽光発電 / 太陽エネルギーの利用向上 / 再生可能エネルギー / 植物の葉序 / フィボナッチ数列 / メガソーラー / タンデム型 |
研究実績の概要 |
平面パネル構成のメガソーラの大規模な導入は、クリーンエネルギーの利用拡大を図る反面、広大な土地を遮蔽することによる植生への影響等が懸念される。一方、我々が提案している3次元太陽光発電モジュールFPM (Fibonacci Number Photovoltaic Module) では、太陽電池パネルが植物の葉序に倣って取付けられている。このため、太陽エネルギーの最大限の利用が図れると共に、良好な通風性や時刻に応じて光の遮蔽箇所が変化すること等から、樹木と同様に自然と調和したメガソーラ(発電樹林)の建設が可能である。そこで本研究では、従来の単体FPMの研究結果を基に、実験とシミュレーションにより発電樹林の実現に当たっての基本的な技術課題の解決を図った。初年度に得られた主な結果を以下に示す。(1) 発電樹林を構成するFPMの最適な樹形を求めるため、太陽電池パネルのサイズ、取付け間隔と発電特性との関係を求め、太陽電池パネルを同一形状・サイズとしたときが最も発電量が多いことを明らかにした。また、発電量は取付け間隔にはあまり依存せず、取付け段数と共に増大することも明らかとなった。(2) 隣接FPMの影の影響を明らかにするため、隣接FPMの影による出力低下の設置間隔・方位依存性を実験により求めた。さらに、これらの関係を効率よく求めるため投影法を用いた新しいシミュレーション手法を開発した。(3)タンデム型モジュール実現に向け、両面パネルを用いたFPMの発電特性を測定し、裏面パネルの発電量が表面パネルの約20%であり、散乱光による発電も日射強度に依存することを明らかにした。(4) 発電樹林FPMの最適太陽電池パネル形状を求める一環として、曲面太陽電池パネル上での発電量推定手法を明らかにした。 上記の研究結果については、国際会議発表4件、国内学会発表9件で公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
発電樹林の実現に当たっては、以下の技術課題を実現する必要がある。(1) 発電樹林を構成するFPMの最適な樹形(葉序、サイズ、形状等)を明らかにすること。(2) 反射光・散乱光を積極的に利用する発電樹林では、FPMの上段と下段で光のスペクトルや強度に合わせて太陽電池セルの種類を変えるタンデム型モジュールが有効と考えられ、その最適構成を明らかにすること。(3) 発電樹林では、各FPMやそれを構成する個々の太陽電池セルの受光条件が異なるため、其々の太陽電池セルに合わせた負荷条件に設定する制御法やインバータを含む出力回路等を明らかにすること。 平成26年度は、当初計画通りに(1)と(2)の課題に主に取組み、上記研究実績の概要で述べたようにほぼ当初計画通りの結果を得ている。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画通り、新たに開発した投影法による発電量シミュレーション手法を用いて、発電樹林における各FPMの形状やその配置と発電量との関係をさらに明らかにする。また、タンデム型モジュールの実現に向けて、両面パネルFPMの発電特性をさらに解析すると共に、曲面太陽電池パネル上での発電量推定手法の高度化を図る。さらに、FPMを構成する各太陽電池パネルに合わせた負荷条件に設定する制御法やインバータを含む出力回路等について、時分割方式によるMPPT回路や小容量の電力をも取り出すため蓄電池をバッファーとする方式等について技術調査を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画より旅費の使用額を減じた一環として、僅かな差額が生じた。差額は平成27年度計画の中で有効に使用する。
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次年度使用額の使用計画 |
804円の残額は、平成27年度の物品費に加えて使用する。
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