研究課題/領域番号 |
26420251
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研究機関 | 東京都市大学 |
研究代表者 |
岩尾 徹 東京都市大学, 工学部, 准教授 (80386359)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 高輝度アークランプ / 水渦流冷却 / 器壁安定化アーク / 演色性 / ランプ効率 |
研究実績の概要 |
電磁熱流体シミュレーションによる放射パワー,明度,ランプ効率の算出を行った。また,本結果を基に,次年度の設計製作に向けた仮設計を行った。 具体的には,本シミュレーションにより,電流,または,器壁径を変化させた時の温度領域を算出した。そして,本結果を用いて,放射パワーとランプ効率の評価を行った。評価を行うパラメータとしては,ジュール発熱による温度効果を表す「電流の2乗/器壁径の2乗」を用いた。 結果として,電流のジュール発熱による高温領域の増加により,放射パワーが増加することが明らかとなった。この結果より,電流が大きいほど,放射パワーが増加し,相関関係にある明度が大きくなることで,ランプ効率の向上が期待できることがわかった。 また,本シミュレーションを来年度の設計製作にフィードバックを考えた場合,従来までの水渦冷却型の器壁安定化プラズマアーク発生装置では,達成できないことがわかった。これは,電流を80 A以上にできないこと,器壁径を41 mm以下にはできないことによる。このため,電流を150 Aにしても電極が損耗せず,器壁径も15 mm以内に抑えることができる装置を製作するための仮設計も行った。 実験計画にはなかったが,従来までの装置において,平均演色評価数を測定したところ,85~90となり,演色性が非常に良いアークランプであることが示された。このため,さらに大電流化と器壁径を小さくすることで,より一層の高輝度で高演色性が期待できることがわかった。このことから,来年度以降の設計製作に向け,さらに大電流化と器壁径を小さくすることで,より一層の高輝度で高演色性が期待できることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度行う予定だった,電磁熱流体シミュレーションによる放射パワー,明度,ランプ効率の算出を行うことができたため。また,本知見を来年度に行う設計に活かすための知見を得ることができた。特に,この知見を活かし,電流を150 Aにしても電極が損耗せず,器壁径も15 mm以内に抑えることができる装置を製作するための仮設計も行うことができたのは,大きな前進である。なお,計画にはなかったが,従来までの装置において,平均演色評価数を測定したところ,85~90となり,演色性が非常に良いアークランプであることが示された。このことも来年度以降の設計製作に向け,大きな成果であった。このため,さらに大電流化と器壁径を小さくすることで,より一層の高輝度で高演色性が期待できることがわかった。
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今後の研究の推進方策 |
予定通り,平成27年度は,水渦冷却型の器壁安定化プラズマアーク発生装置の設計と製作を行う。本年度の結果より,大電流化と器壁径を小さくすることが必須であることから,この対応を行う。既に,電流を150 Aにしても電極が損耗せず,器壁径も15 mm以内に抑えることができる装置を製作するための仮設計を行ったことから,これを本設計にし,装置の設計製作を行う。ただし,様々な研究機関が試みてきたのにもかかわらず,満足した成果が挙げられていない大電流化と径を小さくすることに関しては,場合によっては,仕様の変更なども必要になるため,慎重に進めていく。また,この時,水渦流による冷却機構を維持できるかが問題となることから,従来のノウハウを活かしながら進める。得られた知見は,IEEEや電気学会にて発表し,研究者との意見交換を行う。
平成28年度は,予定通り,水渦冷却型の器壁安定化プラズマアーク発生装置による放射パワー,照度の測定とランプ効率の算出を行う。また,平均演色評価数の測定も行う。さらに,大電流化や器壁径を小さくしたことにより,放射パワー,明度,ランプ効率,照度の向上が期待できることから,この確認を行う。以上の実験結果をフィードバックし,シミュレーションを重ね,さらなる性能向上と物理的解明を行う。得られた知見は,IEEEや電気学会にて発表し,研究者との意見交換を行うと同時に,論文誌への投稿を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会出張費が安くすんだため。
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次年度使用額の使用計画 |
来年度の設計製作の費用にあてる。
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