研究課題/領域番号 |
26420254
|
研究機関 | 金沢工業大学 |
研究代表者 |
島 和男 金沢工業大学, 工学部, 准教授 (20410285)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 電気機器工学 / 同期機 / 磁性 / 塊状鉄心 / 渦電流 |
研究実績の概要 |
平成26年度は,第1に,グルーブの無い塊状磁極同期機の表面損を測定して,有限要素解析の精度検証をした。表面損の原理解明もした。第2に,来年度の表面損低減構造の試作のために,有限要素解析による構造設計をした。 第1の測定方法を述べる。同一寸法の塊状磁極同期機と積層磁極同期機の鉄損の差を表面損失と仮定して,無負荷時と負荷時の表面損失を測定する方法を確立し,測定した。鉄損測定時の両機の機内の磁束の状態を一致させた。機内磁束が一致しているかを確認するために,鉄損に併せて負荷角と電流位相角も測定した。来年度もこの方法で測定する。 第1の測定結果を述べる。端子電圧が同一であるにもかかわらず,負荷時の方が無負荷時よりも表面損が約4倍も大きいことを明らかにした。これは,これまでに応募者らがコンピュータ解析によって見出していた現象と同一である。解析結果を実測によって裏付けることができた。同期機の設計において,負荷時の表面損を評価することが重要であることを見出した。 塊状磁極同期機と積層磁極同期機の負荷角と電流位相角の測定結果が良く一致した。これによって,測定方法が妥当であることが示された。 第1の表面損の原理解明結果を述べる。負荷時の磁極片の磁気飽和の影響で表皮深さが深くなり,表面損失が増加していることを明らかにした。磁極端高さを高くすることによって表面損失を低減できることを解析によって明らかにした。これによって同期機の設計指針を示すことができた。 第2の構造設計結果を述べる。グルーブ付き塊状磁極同期機の表面損失を解析するための3次元有限要素モデルを作成した。様々なグルーブ寸法で解析して,グルーブ寸法と表面損失低減効果との関係を把握した。これによって,来年度に試作するグルーブ寸法を決定した。来年度の計画を遂行できる見通しを得た。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した平成26年度の研究実施計画の通りの研究内容を問題なく実施できた。
|
今後の研究の推進方策 |
交付申請書に記載した平成26年度の研究実施計画の通りの研究内容を実施できたことから,平成27年度も交付申請書に記載した通りに研究を推進する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初,測定精度の高いトルク検出器を購入する計画であった。しかし,測定を実施した結果,既存のトルク検出器でも測定ができた。このため,トルク検出器を購入する代わりに,来年度にグルーブ付き塊状磁極同期機を購入する資金を増額することにした。
|
次年度使用額の使用計画 |
グルーブ付き塊状磁極同期機を購入する。グルーブ寸法の違う同期機をできるだけ多い台数製作して,表面損失の違いを比較検討することが重要であるため,この使途は非常に有用である。
|