研究課題/領域番号 |
26420261
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研究機関 | 神戸市立工業高等専門学校 |
研究代表者 |
茂木 進一 神戸市立工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (00707896)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 電力変換器 / 電圧形変換器 / パルス幅変調法 / 二相PWM法 / 高調波 |
研究実績の概要 |
平成27年度に得られた成果は以下の通りである. 【各種PWM法を適用した場合のパッシブデバイスへの影響検証】各種PWM法を適用した三相電圧形インバータの交流側電圧・電流波形に含まれる高調波成分を定量的に評価した.具体的には,キャリア周波数を等しくした場合,スイッチング損失を等しくした場合,高調波フィルタの有無などによる交流側電流の品質を評価し,それぞれにおける優位なPWM法を明らかにした.本シミュレーション結果と平成28年度に実施する実験から得られる結果をあわせてパッシブデバイスへの影響検証を行う予定である. 【マルチレベル電力変換器に適用する新しい二相PWM法の提案とシミュレーション】従来の二相PWM法ではスイッチング周波数成分の高調波が分散する問題点があったが,前記問題点が生じない(高調波が分散しない)マルチレベル電力変換器に適用する二相PWM法を提案した.そして,同二相PWM法を3レベル電圧形変換器に適用したシミュレーションからその効果を検証し高調波が分散しないことを明らかにした.なお,本検討を通して,提案している二相PWM法の学術的な位置づけを定義することにも成功した.具体的には,従来の二相PWM法が『三相の相電圧指令値を全体的にシフトする方法』なのに対して,提案二相PWM法は『三相の出力相電圧に共通のパルス電圧を重畳する方法』と考えることができる. 【コモンモード電圧の検討】二相PWM法を適用する上で大きな問題となるコモンモード電圧に対する検討を行った.コモンモード電圧に関して,従来の二相PWM法と提案二相PWM法においてスペクトラム分布が違うことを明らかにした.詳細については更なる検討が必要である. 【その他】上記の検討の他,デッドタイム誤差レスPWM法の高周波化に関する検討,各種PWM法におけるデッドタイム誤差の検討,三相電流形変換器のPWM法の検討なども行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成27年度は,次世代半導体デバイスで構成した電圧形インバータを試作し,実験から各種PWM法を適用した場合のスイッチング損失を計測する予定であった.しかし,本研究を遂行する上で最も重要となる二相PWM法のマイコンへの実装が完了しておらず実験は実施できていない.
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今後の研究の推進方策 |
これまでの進捗遅れを取り戻すべく工数として学生を追加投入することで対応する.本研究を遂行する上で最も重要なPWM方法のマイコンへの実装を優先して取り組む.特に,マルチレベル変換器向けは時間を有することも予想されるので研究協力者にフォローして頂きつつ最優先して取り組む.上記課題が解決されればスムーズに遂行できると考えている.
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次年度使用額が生じた理由 |
2月頃にインダクタを購入する予定であったが,メーカに問い合わせたところ,材料(コア)の納期が伸びており3月中の納入が困難との回答があった.従って,前記インダクタの発注を平成28年度にしたため次年度使用額が生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
電力変換器の容量見直しを行っており,現在,上記インダクタを再設計中である.平成28年度6月上旬に発注予定である.
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