平成28年度に得られた成果は以下の通りである. 【スイッチング損失】各種PWM法を三相電圧形インバータに適用した場合のスイッチング損失を評価し,提案する二相PWM法が従来の三相PWM法に比較してスイッチング損失を半減できること,従来の二相PWM法と同等のスイッチング損失となることを明らかにした. 【交流側電圧の高調波】各種PWM法を三相電圧形インバータに適用した場合の交流側電圧の高調波を評価し,従来の二相PWM法では高調波が広い周波数帯に分散する傾向があるものの,提案する二相PWM法ではキャリア周波数とその整数倍の周波数に集中することを一連の実験結果から明らかにした. 【パッシブデバイスへの影響検証】各種PWM法を三相電圧形インバータに適用した場合のパッシブデバイス(インダクタ)から生ずる損失について定量的に評価し,提案する二相PWM法が従来の三相PWM法に比較してインダクタ損失が増加すること,従来の二相PWM法と同レベルのインダクタ損失となることを明らかにした.ただし,前記スイッチング損失の低減分が相殺されるほどではなく,スイッチングデバイスによる損失とパッシブデバイスによる損失を合計しても,提案する二相PWM法が従来の三相PWM法に対して有利であることを明らかにした. 【その他】各種PWM法を適用した三相電圧形インバータの磁気騒音を評価した.キャリア周波数を18kHzとした場合,従来の二相PWM法では磁気騒音が聴き取れるものの,提案する二相PWM法では磁気騒音を聴き取ることができず,従来の二相PWM法の問題点の一つである磁気騒音が大きくなる難点を解決できることを明らかにした.また,上記の他,提案する二相PWM法の三相マルチレベル変換器への応用と,ウェーブレット変換による交流側電圧に含まれる高調波の検証,デッドタイム誤差レスPWM法の実機による検証などを実施した.
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