研究課題/領域番号 |
26420263
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研究機関 | 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構職業能力開発総合大学校(能力開発院、基 |
研究代表者 |
山本 修 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構職業能力開発総合大学校(能力開発院、基, その他部局等, 教授 (00648925)
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研究分担者 |
平原 英明 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構職業能力開発総合大学校(能力開発院、基, その他部局等, 助教 (50649209)
田中 晃 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構職業能力開発総合大学校(能力開発院、基, その他部局等, 准教授 (30648952)
荒 隆裕 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構職業能力開発総合大学校(能力開発院、基, その他部局等, 教授 (40648896)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 電気機器 / モータドライブ |
研究実績の概要 |
駆動用インバータの基本機能のみによって、提案するユニバーサルセンサレスベクトル制御系のチューニング(速度制御誤差やトルク制御誤差を持たないモータパラメータのチューニング)を行う方法を開発し、実機検証によって妥当性を明らかにした。 初期チューニング法として、従来のモータパラメータの代わりに、6つのチューニングパラメータ(突極比、回転子巻線に鎖交しない直軸インダクタンス、誘導モータ判別フラグ、永久磁石同期モータ判別フラグ、トルクゲイン、スリップゲイン)を導入することで、駆動用インバータによる静止試験(モータの回転を伴わない)とモータ定格銘板値の情報のみからセンサレスベクトル制御の実装に必要なモータパラメータを決定する方法を提案した。 実負荷運転によるファインチューニング法として、モータ定格銘板の運転値に一致するように励磁分電流指令値、トルクゲイン、スリップゲインをチューニングすることによって、トルク検出や速度検出を行わずに、速度制御誤差やトルク制御誤差を持たないモータパラメータのチューニング法を明らかにした。 これらの成果によって、従来のチューニング法で必要であった絶縁型のディジタルオシロスコープや特殊な直流電圧印加装置、さらには供試機を発電機駆動させるためのモータ発電機セットが追加装置を不要にすることができた。これらの装置は一般に高価であり、多くのモータユーザや工場現場の導入時において必ずしも準備できるものではないことから、本制御法の特徴を汎用性を高めることが出来たと考えている。 加えて、制動巻線付の永久磁石同期モータに提案するユニバーサルセンサレスベクトル制御に適用する際、磁気飽和による電流波形のひずみを抑え、負荷や速度の運転範囲を拡大するためには、励磁分電流指令によって大幅な進み電流を取ることが有効である事を指摘した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の目標であった、インバータの基本機能のみを使ってチューニングを完了できる方法を開発し妥当性を明らかにできたこと、さらに、前年度開発に成功した制動巻線付き永久磁石同期モータにも適用可能なユニバーサルセンサレスベクトル制御系における励磁電流調整に関して新たな知見を得たことから、次年度の主たる研究課題に予定している最大効率運転を実現する励磁電流調整法に関する注意点を把握することが出来た。これらの状況から、本研究は、おおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
負荷の大きさや速度に依存せず常に最大効率でモータ運転を行う電流指令値ベクトルを自動生成する手法を確立させる。誘導モータと永久磁石同期モータに共通な数式モデルにもとづいて、最小損失条件を満たす最適電流指令値ベクトルの計算式の導出を試みる。鉄損を考慮したモータモデルから、最適電流指令値ベクトルの計算式を導出できればもっとも望ましい。しかし、導出された計算式が複雑で、コントローラへの実装が現実的ではない可能性もある。この場合には、近似的に最小損失条件を満足する計算式の導出を図るか、鉄損を無視したモータモデルから低損失化条件の導出を試みるなどの工学上の工夫を施す必要があると考えている。 さらに、シンクロナスリラクタンスモータをも包含して、回転磁界を利用した動作原理を有する全ての交流モータに適用できるユニバーサルセンサレスベクトル制御法の開発を試みたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験スケジュールの都合でメータの校正を年度内に行わなかった事、消耗部材の新規購入を行わなくても実験を実施できたことによる。
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次年度使用額の使用計画 |
校正を完了していないメータの校正費用に充てる。また、9月の米国での国際会議(IEEE ECCE2016)では制動巻線付き永久磁石同期モータへの適用に関する研究成果を発表することが確定(査読通過済み)しているほか、10月の国内での国際会議(IEEJ ICEMS2016)ではオートチューニング法の研究成果を発表する予定(現在査読中)であるため、これらの参加費等に支出する予定である。
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