研究課題/領域番号 |
26420264
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
岡本 浩 弘前大学, 理工学研究科, 教授 (00513342)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | Ⅳ族ナノドット / 低温形成 / ゲルマニウム / ビスマス |
研究実績の概要 |
本研究は申請者が独自に開発した「ビスマスサーファクタントを用いたIn(Ga)As量子ドット成長技術」をⅣ族材料に応用することにより、新たにBiサーファクタントを用いたⅣ族ナノドットの低温形成並びに形状制御技術を開発することを目的としたものであり、Ⅳ族材料としてはGeに加え、新規な物性が期待されているGeSnを対象として検討を進めている。 平成27年度の実績は以下の通りである。 (1)Geを電子ビーム加熱(EB)蒸着、Snを抵抗加熱(RH)蒸着する際の蒸着レートコントロール手法について検討を行い、さらに前年度末に実施した装置改造による2元材料同時蒸着機能を用いることにより、組成を制御したGeSnの蒸着が可能になった。 (2)量子ドットフローティングゲートメモリ用基本構造検討の一環として、SiO2基板上へのGeナノドット作成条件の検討を行った。GeとBiの蒸着厚、並びに蒸着時の基板温度をパラメータとした一連のドット作成の結果の考察から、この際のBi蒸着の効果はIn(Ga)As量子ドット成長において観察されたサーファクタント作用だけでは説明ができないことが判明した。今後、より詳細な検討が必要である。 (3)欠陥評価、メモリ機能評価に向けた電気的特性評価技術の検討として、低温コンダクタンス法やDLTS法(Deep Level Transient Spectroscopy;深い準位の過渡応答スペクトル評価法)によるGe-MIS構造の界面近傍の欠陥評価を行い、評価技術の向上を図った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
種々の装置トラブルの発生により、前年度の装置改造の遅れを取り戻すことが難しかった。また、前述の通りSiO2基板上へのGeナノドット作成においてはBiを副材料に用いることによる効果がサーファクタントとしての作用だけでは説明ができないことが新たに判明し、より多岐にわたる検討が必要となったため、この準備を平行して進めた。
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今後の研究の推進方策 |
基本的には当初の計画に沿って研究を行うが、具体的な進め方について一部変更を加える。前述の通り、ナノドット形成においてBiを副材料に用いることによる効果を明らかにするための検討を強化する必要が出てきた。そこで当初の計画のうち、太陽電池用多層ドット形成技術の検討とドットinナノワイヤ構造形成技術の検討については優先度を下げ、上記Biの効果に関する検討とGeSnナノドット形成技術の検討、量子ドットフローティングゲートメモリ用基本構造作製の検討に注力することとする。まず、量子ドットフローティングゲートメモリ用ナノドットへの検討を兼ねてトンネル酸化膜を形成したSi基板上へのナノドット形成条件の検討を行う。この構造は透過電子顕微鏡(TEM)やX線光電子分光(XPS)評価を行う際にも有効である。またこの際、ナノドットの材料としてSiを用いる検討を新たに加え、Geドットとの比較検討により上記Biの効果についてより多面的な検討を行う。GeSnナノドット形成については混晶作成条件の検討を進め、次に前記のナノドット形成条件の検討結果と組み合わせてナノドット形成を試みる。
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備考 |
研究室の研究内容や研究成果を一般向けにわかりやすく説明しています。
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