まず、非対称型誘電体装荷空洞共振器の共振電磁界解析を、モード整合法並びにリッツガレルキン法を用いて行った。先行研究で行われた対称型誘電体装荷空洞共振器の共振電磁界解析の場合に比べて、リッツガレルキン法を適用すべき境界が2倍に増えるので、その境界間の空間を伝送線路モデルに置き換えることにより、境界上のパラメータを一組消去し、固有値方程式を導出した。 続いて、同解析に基づいたC++による数値計算プログラムを作成し、共振周波数および無負荷Q値から、基板材料の複素誘電率を算定するソフトウエアの基本部分を作成した。 一方、直径4.4mmで、長さを40mmから10mmに可変し、なおかつ誘電体基板試料の空洞内相対位置を変化させることのできる、実験装置を作成し、試料装荷無しの場合、試料を装荷した各場合について、共振周波数ならびに無負荷Q測定実験に着手した。 現在、測定の再現性を向上すべく、予備実験ならびに実験装置の改良を進めてつつ、本測定法の有用性が期待できる高誘電率材料(比誘電率60以上)の複素誘電率測定に取り掛かったところである。 予備実験の結果、従来の対称型誘電体装荷空洞共振器では困難であった、高誘電率材料の30GHz帯以上での複素誘電率測定が可能であることが明らかになった。 以上の研究成果は、2016年度において、2回の国内学会口頭発表ならびに1回の国際会議ワークショップで発表し、現在電気学会論文誌の投稿すべく論文執筆を進めている。
|