研究課題/領域番号 |
26420268
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
坂東 弘之 千葉大学, 融合科学研究科(研究院), 助教 (70298149)
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研究分担者 |
松末 俊夫 千葉大学, 融合科学研究科(研究院), 講師 (20209547)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 2光子吸収 / 光物性 / 光スイッチ / 光非線形デバイス |
研究実績の概要 |
本年度は,新たにフェムト秒レーザ(波長λ=1550nm)を購入し,その立上げおよび測定系の改良を行った。これにより,非縮退な2光の準備が整った。今後は,それらの同期調整などを行い,本研究の目的である非縮退な2光束による2光子吸収特性を測定していく。 また,InPの3次非線形感受率テンソル(3成分)の虚部の値を,構築した測定系により,波長1640nm-1800nmにて測定した。楕円偏光とZ-scan法を組合わせ,我々の導出した解析式を用いることにより,従来の値よりも有効数字が1桁半ほど精密に決定することが出来た。 そして,InP(1-10)面にて,2光の偏光状態を,ポンプ光を円偏光,プローブ光を直線偏光とした,2光束による2光子吸収特性の測定を,波長1640nm-1800nmにて測定した。この際,プローブ光の偏光方向([110]方向とのなす角をθ)を変え,2光子吸収特性の偏光方向依存性を測定した。その結果,得られた偏光方向依存性は,先に求められた3次非線形感受率テンソルの値をDvorakらの式に適用することで,非常によく再現できた。このことは,得られた3次非線形感受率テンソルの値の正確さ,解析モデルおよび解析式の正しさなどを意味している。 さらに,汎用物理シミュレーションソフトを用いて,マクセル方程式および3次非線形感受率テンソルを用いた分極の表式を記述することで,2光子吸収をシミュレーションすることが可能となった。そして,先の測定で得られた3次非線形感受率テンソルの値を使用することで,測定で得られた2光子吸収特性の直線偏光方向依存性も,値も正しくシミュレーションできた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新たなfs-レーザーの購入・立上げが完了し,本年度計画していた測定系が立ち上がった。これにより,計画していた2光束による2光子吸収の偏光状態依存性の測定が順調に進んでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
来年度以降の計画予定であるが,まだ測定出来ていない波長域での2光束による2光子吸収測定の測定へと実験を進め,3次非線形感受率テンソルの広波長域測定を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度の予算に残が生じたのは,購入予定であった液晶・可変リターダシステムがモデルチェンジをしており,また他社からも類似の装置が出ていることが分かり,それらの特性の情報収集およびデモ機の貸出しなどによりテストをおこなったために,年度内に購入できなかったことが主な理由である。
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次年度使用額の使用計画 |
この後の使用計画は,速やかに機器の選定・購入を行い,本年度構築した測定系に組み込み,測定の継続を行っていく。
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