研究実績の概要 |
Si基板上にHF/AgNO3を用いてSiアレイを作製した.HF/AgNO3比,濃度,処理時間,溶液の容量を変化させ最も長いSiアレイが作製される条件を見出した.さらにそれをMg蒸気下にて熱処理を行う事によりMg2Siワイヤ束を作製した.このMg2Siワイヤ束のホール効果による電気特性評価,ゼーベック効果測定を行うとともに勘弁な一極の熱電素子を試作した. CaSi2よりCrCl2,FeCl2, FeCl3やNH4Clを用いてCaを脱離する事によりSiナノシートを作製した.また金属原子の脱離のためフィチン酸,クエン酸,リンゴ酸の酸性溶液を用いた.生成したSiナノシート束のラマンスペクトルはバルクSiのそれとは異なる特性を示し何らかの構造緩和が起こっている事が示された.また,カソードルミネッセンス,フーリエ変換型赤外分光 (FTIR),X線光電分光法(XPS)によりナノ構造の表面状態を評価した.Ca原子の脱離の作用,効率の違いによりFTIRスペクトルに違いが生じた.処理方法により表面状態を改変できる事を示唆している. またテンプレートとして用いるシリサイドとしてCaSi2の他にMg2Si, SrSi2, BaSi2を用いSi系ナノシートを作製した.異なるSi骨格を有するシリサイドを用いる事によりCaSi2の場合とは異なるモルフォロジーを有するSi系ナノシート束を得た.作製したナノ構造それぞれの,ホトルミネッセンスを測定しバンドル化による量子効果を検証した.これよりSiナノシートはより薄い厚さ1~2nm程度のSi層からなる超格子構造を有する事が示唆された.またこのSiナノシートにMoを添加しh-MoSi2シート束も作製した.適切な成長環境とソース,テンプレートの選択によりSi系ナノワイヤ,ナノシートの結晶構造,組成,モルフォロジーを制御する簡易な成長プロセスを構築した.
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