シリコン炭窒化膜(SiCN膜)を電荷捕獲膜とする不揮発性メモリ素子を試作し、メモリ特性及び、キャリヤの注入・捕獲過程について調べた。シリコン窒化膜を用いた従来型の素子に比べてSiCN素子では約1桁速い消去速度が得られ、この特性がSiCN膜の正孔注入に対するエネルギー障壁が低いことに起因することを示した。また、SiCN膜に捕獲された電子のエネルギー深さがシリコン窒化膜と同程度であること及び、SiCN-SiO2界面の伝導帯のバンドオフセットがシリコン窒化膜-SiO2界面に比べて大きいことを明らかにした。この様なSiCN素子のバンド構造が低温でのSiCN素子の優れた電子保持特性の一因と考えられる。
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