研究課題/領域番号 |
26420281
|
研究機関 | 諏訪東京理科大学 |
研究代表者 |
福田 幸夫 諏訪東京理科大学, 工学部, 教授 (50367546)
|
研究分担者 |
岡本 浩 弘前大学, 理工学研究科, 教授 (00513342)
王谷 洋平 諏訪東京理科大学, 工学部, 准教授 (40434485)
佐藤 哲也 山梨大学, 総合研究部, 准教授 (60252011)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 原子層堆積法 / 金属ジャーマネイト / 誘電体物性 / 表面・界面物性 / 超薄膜 / ラジカル酸化 / プラズマ酸化 / MIS構造 |
研究実績の概要 |
本研究代表者らは、原子層堆積法によるゲルマニウム基板上への酸化アルミニウム絶縁膜の形成実験において、酸化剤としてマイクロ波生成酸素ラジカルを用いると電気的に高品質なアルミニウムジャーマネイトが低温で自己形成される現象を見出した。本課題では、この酸素ラジカル酸化剤の適用により発現するジャーマネイトの形成機構を詳しく調べるとともに、より高誘電率化が期待できる他の金属酸化物のジャーマネイト形成への応用展開を図り、Ge-MOSFETのゲート絶縁膜形成技術を確立することを目的としている。 平成26年度は、[1]アルミニウムジャーマネイトの形成機構と[2]高誘電率金属ジャーマネイトの形成法について検討した。 [1] 分子構造が単純なアルミニウム用有機金属原料Al(CH3)3(TMA)を用いてアルミニウムジャーマネイトの形成機構を検討した。リモートプラズマ室と成膜室の間にイオンの通過を抑制する金属メッシュを配置し、この金属メッシュの有無による比較成膜実験を行い、ジャーマネイト化を促進する活性種を特定した。さらに、基板表面上に形成されるプラズマ電位をラングミュアプローブ法により求めた。これらの実験結果より、ジャーマネイト化を促進している活性種は5eV程度の運動エネルギーを有するアルゴンイオンであることが分かった。さらに、基板表面に吸着したTMAプリカーサーが酸素ラジカル照射により酸化する過程において、アルミニウム原子とゲルマニウム原子が照射アルゴンイオンのアシストにより置換し、その結果、酸化アルミニウムがジャーマネイト化する表面反応機構を明らかにした。 [2] アルミニウムジャーマネイト以上の高誘電率が期待できるストロンチウム、ランタン、ハフニウム、タンタルのジャーマネイト膜形成実験に必要となる高温有機金属原料ガス供給装置の導入・立ち上げ、予備実験を進めた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究計画の第一の目的であったジャーマネイトの形成機構を解明し表面反応モデルを提案することができた。また、交付申請時に提案したジャーマネイトのバルク及び界面欠陥評価に対する電気的測定・解析手法の有効性を確認することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
当初の計画に沿って、ストロンチウム、ランタン、ハフニウム、タンタルのジャーマネイト薄膜を作製し、それらの基礎物性評価と熱・雰囲気ガスに対する安定性を検討する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
ゲート電極形成用の貴金属に関して、消費量が当初の予想よりも少なく済んだため、新たに追加購入する必要がなくなったため。
|
次年度使用額の使用計画 |
ゲルマニウム基板洗浄用の薬液等消耗品の購入に使用する。
|