Siよりも優れたキャリアー移動度のGeは、次世代ナノデバイス材料の候補である。本研究では、放射光精密光電子分光と分子線によって、Ge酸化物の形成制御に必要な反応パラメターおよび特異な反応現象の発見を目指した。当初の予想通り、酸素分子線によってサーマルガスと異なる酸化状態が実現することが明らかとなった。また、Ge酸化では、形成される酸化物の酸化価数状態やその並進エネルギー依存性が、Siと大きく異なることが分かった。さらに、Si(100)表面酸化の比較実験において、30年来その存在が否定されてきた分子状吸着酸素の観測に成功した。本研究は、ナノスケール表面反応制御の重要な知見と確信している。
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