研究課題/領域番号 |
26420294
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
河村 希典 秋田大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (90312694)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 液晶レンズ / 視力補助デバイス / 遠近可変メガネ / 焦点距離 / レンズパワー / 凸レンズ特性 / 凹レンズ特性 |
研究実績の概要 |
本研究は,液晶レンズにおける有効なレンズ径及びレンズパワーの可変幅の拡大に関する現在の課題を解決するため,複数の円形パターン形状の電極及び高抵抗膜を用いた新規液晶レンズを設計・試作し,有効なレンズ径を拡大・維持しつつレンズパワー(焦点距離の逆数)の可変幅を拡大することである。さらに機械的制御系を一切必要としない『遠近可変メガネ』を実現するための問題点等を明確にし,課題の解決を目指すことである。 平成27年度は下記に示す研究内容を実施した。 (1) 同心円状及び階段状に分布した高抵抗膜を用いた液晶レンズの試作 円形パターン電極及び高抵抗膜を用いた液晶レンズが提案され,焦点距離等を低電圧で制御することが報告されている。さらに,円形パターン電極と複数のリング電極を組み合わせた電極構造を有する液晶レンズを提案し,独立した電圧を各電極に加えることで二重のレンズ特性を制御することができている。レンズパワーの増加を図るために駆動電圧を高めに設定した場合において,これまで均一に製膜した高抵抗膜の表面抵抗を同心円状及び階段状に分布するような液晶レンズを作製し,液晶レンズの各電極に独立した電圧を印加した場合の干渉縞観察から求めた光学位相差分布及びレンズパワー等のレンズ特性について実験を行った。円形領域内でシート抵抗が異なり、液晶層の円形パターン電極縁付近での電界強度を制御することが可能となる。このため、液晶レンズの光学位相差分布は、従来の液晶レンズに比べて放物線特性の大幅な改善効果が得られた。したがって、高抵抗膜の表面抵抗を同心円状及び階段状に分布させることで液晶層の電界の分布を調整することができ,レンズパワーの増加と共にレンズ特性を向上することが可能であることが示された。 (2) 二次評価のまとめ 研究成果に対する二次評価を行った。今年度の課題目標の位置付けを明確にし,問題点等の抽出を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高抵抗膜の表面抵抗を同心円状及び階段状に分布した液晶レンズを試作し、実際に電気光学特性を測定することにより、液晶層の電界の分布を調整することができることを見出した。さらに、レンズパワーの増加と共にレンズ特性を向上することが可能であることが示された。そのため、予定していた研究計画を達成することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究について下記の内容を予定している。 (1) 前年度までに試作した液晶レンズの作製技術と実験結果を鑑み,電気光学特性等の円形パターン電極及び円形パターン高抵抗膜を有する新規液晶レンズの試作・評価を行う。 (2) 遠近可変メガネへの適用・評価について、これまで行った新規構造の液晶レンズの高機能化,低電圧化の液晶レンズを『遠近可変メガネ』に適用するための問題点等を明らかにする。生体工学に対して有識者のアドバイスを受けて,視力補助デバイスの課題の解決を目指す。 (3) 全体計画における各々の課題目標の位置付けを明確にし,問題点等の抽出を行い,遠近可変メガネの実用化に向けた総合的な考察を加える。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度購入していた消耗品で、計画通り研究することができ、消耗品費を計上する必要がなかった。さらに、国際会議の出席を一件取りやめたため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の国際会議発表および論文投稿料として計画している。
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