研究課題/領域番号 |
26420300
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田辺 克明 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60548650)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 光集積回路 / 光通信 / 半導体レーザ / シリコン / ウェハ貼り合わせ / 量子ドット |
研究実績の概要 |
本年度は、まず、昨年度に引き続き、III-V族化合物半導体/シリコンエバネッセントレーザの作製に取り組んだ。レーザ発振光がシリコン光導波路から観測されないことが問題点であったが、分析の結果、問題の起因となっている要素を抽出することができた。具体的には、GaAs/Si接合界面の機械的強度の向上や、III-V半導体薄膜内の共振器構造とシリコン光導波路の位置合わせ(アライメント)の精度の向上、また、レーザ共振器の光閉じ込め強度に関わるDBRミラーの設計およびシリコン基板のへき開の位置への考慮を含むシリコン導波路構造の改良等を課題として設定し、それぞれに取り組んだ。例えば、SOG(スピンオンガラス)を介した新規接合法の導入により、機械的強度の向上が確認された。また、レーザ構造作製プロセスフローの再設計を行った。シリコン光導波路構造の設計も完了した。派生的な研究テーマとして、光集積回路用途の半導体レーザである以上、その素子の変調動作は必須の課題となる。そこで、高速変調動作用に、新規にシリコン基板上InAs/GaAs量子ドットレーザの作製を行った。複数ラウンドに渡る測定、フィードバック、素子構造および作製工程の改善を重ねた結果、金属薄膜を介した接合法による素子と半導体同士の直接接合による素子の両方において、シリコン上量子ドットレーザとして世界最速となる6GHz変調動作に成功した。この成果は、量子ドットレーザを用いた高性能光集積回路の実現への重要な通過点の一つである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の3ヵ年の中の2年目における進捗として、ほぼ予定通りの結果が得られていることに加え、高速変調動作という、当初予定していなかった派生的な成果を得ることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の目標であるエバネッセントハイブリッドレーザの実現に向け、問題点であるレーザ発振光がシリコン光導波路から観測されないことへの対応策(GaAs/Si接合界面の機械的強度の向上や、III-V半導体薄膜内の共振器構造とシリコン光導波路の位置合わせ(アライメント)の精度の向上、また、レーザ共振器の光閉じ込め強度に関わるDBRミラーの設計およびシリコン基板のへき開の位置への考慮を含むシリコン導波路構造の改良等)の施行を引き続き進め、目的の素子を実現する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画書の提出時点では予定されていなかった研究代表者の所属の移動(東京大学から京都大学へ)が今年度に生じたことにより、当初予定していたものと比べ、研究活動に伴う支出が小さくなったため。
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次年度使用額の使用計画 |
当初の計画で本年度に行う予定であった物品等の購入を今年度に行う予定である。依然として、研究期間終了時点において研究は予定の通り遂行される予定である。
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