研究課題/領域番号 |
26420301
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
新保 一成 新潟大学, 自然科学系, 教授 (80272855)
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研究分担者 |
馬場 暁 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (80452077)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 長距離伝搬表面プラズモン / ホトトランジスタ / 電場増強 / グレーティングカップリング |
研究実績の概要 |
本研究では、表面プラズモン(SP)励起に伴い金属表面近傍に生じる強電場を利用して有機薄膜における光吸収を増強させ、有機ホトトランジスタの高性能化を行う。特に、通常のSPよりも強度が大きくしみだし距離も長い特徴を持つ長距離伝搬表面プラズモン(LRSP)を利用することで効果的に有機層の光吸収を増強させ、素子性能を向上させる。SP励起には、プリズムカップリングのほかにグレーティングカップリングを用い、広い波長領域および様々な入射角度で簡便かつ安価に利用可能な素子を構築する。グレーティングカップリングによるSP励起をホトトランジスタに適用した例はこれまで報告されておらず、これにより高性能かつ安価で実用的な素子の構築を目指す。 以上の目的に対して、これまでグレーティングカップリングによる励起を用いる構造の素子を作製して実験を行った。LRSPの素子を作製する前に、通常のSPを利用する構造について実験を行ったところ、SP励起が強くなる光入射角度において電流値が大きくなる様子を観測することに成功した。現在は追実験およびほかの構造での実験を行っているところであり、有機層として用いたペンタセン薄膜や絶縁層として用いた酸化アルミナ/自己組織化単分子膜の膜厚や作製条件に対する依存性について調べている。これにより、SPを用いない場合に対して光感度をはじめとした素子性能をどの程度向上できるか明らかにする。これと同時に、種々の構造の薄膜トランジスタを想定して有機層の光吸収特性についての理論計算を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
素子作製に時間がかかっているのがやや遅れている主な理由であるが、問題点がおおむね明らかになってきているので、今後実験結果を得られるものと考えている。ただし、グレーティングカップリングによるSPを利用して電流の増大を観測するところまでは達成しているので、種々の構造を持つ長距離伝搬型素子を作製し、素子性能を明らかにする。なお当初予定していたプリズムカップリングを用いた素子による実験についてはあまり進んでいない。ただし、これについては基板にグレーティング構造を用いるか否かの違いだけであるため、グレーティング構造素子の検討が進めば速やかに研究を進捗できると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
現在作製している素子は長距離伝搬型ではなく通常のSPを用いるものであるが、酸化アルミナ層と自己組織化単分子膜の積層構造を用いることで絶縁膜厚を非常に小さくできるので、当初想定していたものよりも高い性能が得られると期待できる。そのため、引き続きこの素子についてアルミナ層の作製条件やペンタセン層の膜厚依存性について追実験を行うと共に、電界計算も行って実験結果とあわせて検討したい。同時に、長距離伝搬型SP素子も当初の予定通り作製し、性能比較を行いたい。これらについて、プリズムカップリングによる方法についても実験を行う。 なお現在は一次元グレーティングを用いているが、これではグレーティング溝に対して垂直な偏光成分の光に対してしか効果を得ることができない。このため、表面ラフネスや二次元グレーティングを用いることであらゆる偏光方向に対する光を利用する構造を検討する。さらに、金属微小球に生じる局所プラズモンを用いて、上記のグレーティングによるSPと複合化することにより増強効果を高める方法も検討していきたい。 このほか、グレーティングカップリングによる長距離伝搬表面プラズモン励起の電場増強に基づく分子励起についても調べていきたい。 以上により得られた成果は、積極的に国内外の学会にて発表すると共に論文投稿を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
素子作製に関する問題解決に時間がかかったため次年度使用額として172,304円が生じたが、最終年度に向けて研究活動を行うことで予定した計画通り使用できると考えている。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度まで、表面プラズモン励起の様子を観測するための分光器を購入し、本研究に必要な測定系をほぼ完成させるとともに、必要な消耗品などを購入して使用した。来年度は素子作製と評価を主に進めていき、そのための消耗品と研究発表旅費を中心に使用することを計画している。実験補助のための謝金、国内・国際学会への参加費も計画している。
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