平成28年度は,まず,ダイヤフラム辺長を短くすることで,共振周波数の高周波数化を図った。ダイヤフラムを16mm角共通とし,0.145mm厚(#16-1),0.21mm厚(#16-2),0.30mm厚(#16-3)のセンサを試作した。試作センサに時間幅の異なる音波パルスを印加し,時間幅と応答特性の関係について考察した。測定の結果,#16-1の時定数(平均)は2.18ms,#16-2は1.85ms,#16-3は1.82msとなった。20mm角ダイヤフラムと異なり,時定数に顕著なダイヤフラム厚依存性は見られなかった。さらに,高次共振モードの利用による高周波数化も行った。共振周波数の縮退を避けるため,ダイヤフラム形状を長方形(20mm×18mm)とした。ダイヤフラム厚0.145mm(#20-18-1),0.21mm(#20-18-2),0.3mm(#20-18-3)の3種類のセンサを試作したところ,センサ#20-18-1では3.3,6.5kHzに,センサ#20-18-2では4.6,9.3,16.4kHzに,センサ#20-18-3では6.4,12.6kHzに共振が見られた。現れた共振は,周波数の低い方から,1次と2次の共振と考えられる。また,センサ#20-18-2に見られた16.4kHzの共振は5次モードと思われる。高次モードは,振動振幅が1次モードに比べて小さいのが難点ではあるが,共振周波数の高周波化の可能性を確認できた。 AE特徴量の推定・算出システムに関しては,「雑音処理」と「AE特徴量算出」の2つの機能からなるWindowsアプリケーションを製作した。本システムに振幅,時間幅,雑音が異なる模擬信号を入力して,AE特徴量を算出できる条件を明らかにした。時間幅が短いパルスについては,出力信号の最大値が小さく,今回の手法ではS/N比100程度を必要とすることが分かった。
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