研究課題/領域番号 |
26420307
|
研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
片山 健夫 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助教 (80313360)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 光デバイス / 全光型論理素子 / 半導体レーザ / 偏光双安定 / フォトニクスネットワーク |
研究実績の概要 |
平成27年度は以下の研究で成果をあげた。 1. 偏光自己変調: VCSELの発振光を偏光、強度、遅延時間などを調節して元のVCSELに戻す帰還光学系は、本研究の基本となる光学系である。前年度の実験結果をもとに、偏光分離したレート方程式に帰還光学系の項を加えて偏光自己変調動作を数値解析した。その結果、駆動電流を増加し、レーザの緩和振動周波数を増加すると偏光自己変調動作が可能な周波数が増加することが分かった。 2. VCSELアレイを用いた光信号処理: VCSELは作製時にアレイ形状をとっているため集積システムに適している。しかし、これまでのVCSELの偏光双安定動作は、駆動電流、デバイス温度などの動作条件が限られているため、デバイスの動作温度を個別に制御する必要があり、集積化されたVCSELアレイでの偏光双安定動作は確認されていなかった。デバイス温度でVCSELの発振波長を大まかに設定し、駆動電流で個々の発振波長を精密に調整することで、アレイ内の複数の素子で偏光双安定状態を実現した。さらに、アレイ内のある素子の光出力を別の素子へ入力して偏光スイッチングを行い、アレイ内で全光型シフトレジスタ動作を実現した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、本研究に必要不可欠な現有装置である4チャンネル・パルス・パターン・ジェネレータの動作が不安定となったため、光学実験の進捗が停滞した。修理業者に修理を依頼したが、当方では発生するにも関わらず、業者では不具合が発生しなという状況であったため問題解決に時間がかかった。そのため本研究の後半で行う予定であった偏光自己変調の数値解析による理論的検討を予定より先行して行った。
|
今後の研究の推進方策 |
4チャンネル・パルス・パターン・ジェネレータの代替品として、現有の1チャンネル・パルス・パターン・ジェネレータを用いて実験系の構築を行っている。信号源のチャンネル数が減るため、信号を分岐する数が増えシステムが複雑となり、生成する信号パターンの自由度が下がるが、JKフィリップ・フロップの基本動作の検証は可能である。また、必要に応じてパターンジェネレータのリースも検討する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本研究に必要不可欠な高額な現有の実験装置である4チャンネル・パルス・パターン・ジェネレータの動作が不安定になった。高額な修理費が予想されるため、物品の購入を一時停止し、修理業者へ見積り依頼を行ったが、修理業者では不具合が発生しないという報告であった。しかし、こちらに戻ってきた際には不具合が発生し、再び修理業者に送り返すなどを行っていたため次年度使用額が生じた。
|
次年度使用額の使用計画 |
最近、修理業者で不具合の状況が再現したため本年度修理を行う予定である。もし修理が不能な場合は他の現有装置とリースなど組み合わせて研究を遂行する。
|