平成28年度は以下の研究で成果をあげた。 1. VCSELアレイを用いた光信号処理: VCSELは作製時にアレイ形状をとっているため集積システムに適している。JKフリップフロップは複数のVCSELを組み合わせて実現されるため、アレイ集積化の技術とアレイ内のVCSELを光学的に接続する技術は重要である。前年度の研究成果を元に、12素子中の2素子で実現したシフトレジスタを、他の素子の組み合わせでも同様の調整方法で実現した。 2. 導波路を結合した高屈折率差サブ波長回折格子(HCG): 先に述べた通り複数のVCSELを用いるJKフリップフロップでは、同一基板上のVCSEL素子を光学的に接続することと、その光を偏光状態を保持したまま効率よく取り出すことは重要である。この光導波路結合型HCGをVCSELの反射鏡として用い、導波路でアレイ内のVCSEL素子を接続する方法を提案している。矩形の偏光無依存HCGとそれに直交して接続する2つの光導波路をSilicon-on-insulator (SOI)基板上に作製し、HCGへ入射する光の偏光により出力導波路を切り換えることができることを実験的に明らかにした。さらに、光導波路結合型高屈折率差サブ波長回折格子面発光半導体レーザ(HCG-VCSEL)が持つ、VCSELの発振偏光のスイッチにより光出力導波路を切り換えることができるという新機能の原理実証を行った。
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