研究課題/領域番号 |
26420315
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研究機関 | 北九州市立大学 |
研究代表者 |
礒田 隆聡 北九州市立大学, 国際環境工学部, 准教授 (70284544)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | MEMS / DNA / 素子 / 集積 / 並列計算 |
研究実績の概要 |
膨大な組み合わせの中から1つの解を特定する方法として、DNA塩基配列を演算素子に利用する並列計算手法がある。本研究では①電子回路中の任意の座標に、任意の塩基配列のDNA断片を配列する新方法を開発する。座標指定で配列したDNA断片は1塩基の違いで特定のDNAを認識し、デバイス上で電気信号に変換される。最終目標として②DNA並列計算で得られる複数のDNA断片から、特定の解を判定するDNA並列計算素子の実証化を行う。 初年度は①のデバイス作製の要素技術の開発を集中的に実施した。まず電極の電気分解を利用して基板表面にタンパク分子を任意の位置に集積化する「電気分解パターニング法」の検討を行った。本方法は以前に要素技術を確立し、1㎜平米の基板表面にタンパク分子を数十箇所集積化することが可能であることを報告している。しかし本方法では、大表面積(3インチ四方)の基板に集積することは困難であることが分かり、集積方法の見直しが必要であると結論した。 そこで光感光性樹脂とタンパク集積材料をコンポジットしたタンパクパターニング材料の探索と、その集積条件の検討を行った。この方法は、基板上の任意の位置にタンパクをパターニングできることが確認できた。しかしパターニングの精度はタンパク集積材料の大きさに依存し、最小解像度は理論上50マイクロメートルと精度が低い。次年度はこのタンパク材料をナノスケールに改善し、パターニングの精度とタンパク集積化度の向上を検討する。また他のタンパク集積材料のパターニング法についても探索を引き続き行い、DNAの分子レベルでの集積化に最適な集積化材料と方法論の確立を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
初年度はデバイス作製の要素技術の開発を集中的に実施した。まず電極の電気分解を利用して基板表面にタンパク分子を任意の位置に集積化する「電気分解パターニング法」の検討を行った。本方法は以前に要素技術を確立し、1㎜平米の基板表面にタンパク分子を数十箇所集積化することが可能であることを報告している。しかし本方法では、大表面積(3インチ四方)の基板に集積することは困難であることが分かり、集積方法の見直しが必要であると結論した。 このように研究実施過程で技術的な方法の変更が生じたため、年度後半は他の方法の検討を行った。そのため当初計画より半年程の遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
初年度に別の技術的アプローチとして光感光性樹脂とタンパク集積材料をコンポジットしたタンパクパターニング材料の探索と、その集積条件の検討を行い、基板上の任意の位置にタンパクをパターニングできることが確認できた。しかしパターニングの精度はタンパク集積材料の大きさに依存し、最小解像度は理論上50マイクロメートルと精度が低い。次年度はこのタンパク材料をナノスケールに改善し、パターニングの精度とタンパク集積化度の向上を検討する。また他のタンパク集積材料のパターニング法についても探索を引き続き行い、DNAの分子レベルでの集積化に最適な集積化材料と方法論の確立を行う。
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