研究課題/領域番号 |
26420317
|
研究機関 | 日本工業大学 |
研究代表者 |
宇賀神 守 日本工業大学, 工学部, 教授 (90506164)
|
研究分担者 |
束原 恒夫 会津大学, コンピュータ理工学部, 教授 (10433153)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 複素フィルタ / イメージ信号除去 / 3相信号 / 無線受信器 / アナログ回路 |
研究実績の概要 |
多相アナログ信号を用いた複素バンドパスフィルタのIF可変範囲を最大化するIF制御回路を研究した。この検討の中で、3相アナログ信号を用いるIF信号処理アーキテクチャがIF可変範囲の拡大に有利であることを発見し、信号の位相誤差および振幅誤差を大幅に低減する3相のダブルコンバージョン無線受信回路を考案した。この回路に3相の複素バンドパスフィルタを組み合わせることで、信号ロスの問題を解消し、必要部品数をダブル・クワドラチャ構成に対し大幅に低減し、3相アナログ信号誤差を0.1%以下に制御できる見通しを得た。 この成果の意義は3点ある。1点目は、イメージ抑圧比を60dB以上にできるということである。イメージ抑圧比が小さい場合は、イメージ妨害信号が大きくならないように無線システムを設計しなければならない。このためイメージ抑圧比が小さい場合は、チャネル周波数の空間配置等に制限が発生する。60dB以上のイメージ除去性能があれば、このような制限はほとんど発生しない。2点目は、アナログ信号処理時に信号ロスが無いということである。従来技術であるRCパッシブフィルタを用いた構成では20dB以上の信号ロスが発生してしまい無線受信機の雑音性能が大幅に劣化するという問題があったが、本構成ではその問題が発生しない。3点目は、3相信号を用いることで必要な回路部品点数が大幅に削減され、無線端末のコストが低減されるということである。ダブルコンバージョン構成では部品点数は位相数のほぼ2乗に比例するため、部品点数が4相のダブルコンバージョン構成に比べて約9/16に低減できる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の最終目標は、無線受信システムとしての受信時の妨害信号耐性のよい無線機を低コストな無線チップで実現することにある。 初期の計画では、中間周波数の可変制御により隣接チャネル妨害信号耐性の向上を最初に行い。次にイメージ妨害信号耐性の向上の順に研究を進める予定であったが、イメージ妨害除去に適した回路構成を発見した。このため研究の順番を変えて、研究を進めている。
|
今後の研究の推進方策 |
イメージ妨害信号除去回路に関する検討を進める。具体的には、回路を構成するトランジスタ、抵抗、容量などの部品性能がばらついても所望のイメージ妨害信号除去が実現できるような要素回路および回路構成の検討を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
計画では、当年度に測定に必要な装置をすべて購入し、測定環境の整備を行う予定であったが、設計検討を先に行っても計画全体にはほとんど影響しないことがわかった。このため一部の測定機器購入を次年度に計画変更した。
|
次年度使用額の使用計画 |
前年度に計画していた信号発生器を購入することに使用する。他の使用計画に変更はない。
|