研究実績の概要 |
量子情報処理技術は 次世代ITの基盤技術として活発に研究され、1素子としての演算、通信は様々な形で実証されている。当該グループも昨年度までに量子もつれに向いた電流注入型単一量子ドットLEDおよびそのゲート制御を報告した。本年度は、集積化を目指した研究を進めた。集積化は量子計算における量子エラー処理、量子情報通信における通信レートの飛躍的な向上をもたらすもので、真に有用な素子開発において必須である。 本研究では10^10/cm2以上の高集積作成技術が確立している,位置制御性に優れたナノコラムを用い、同一基板上に単一ナノコラムと集積ナノコラムを同一成長条件により成膜し、以下の成果を得た。①ゼロ次元系達成を示唆する線幅300μeV以下の狭線発光。②本構造特有のバックグラウンド光を、クリスタルリフトオフ、シャドーマスク法を駆使し、1/10以下に低減。③単一ナノコラムからの単一光子発生判定の測定のためのHanbury Brown and Twiss(HBT)の自己光強度相関測定を実施し、①、②の技術を用いて明瞭なアンチバンチングを観測した。バックグラウンド除去後の光子相関関数 g(2)corr(0)は 0.39であり、高集積に適したナノコラムから単一光子発生を実証したと言える。量子もつれ評価には、さらなる残存バックグラウンド低減が必要であるが、ナノコラム直径縮小により更に改善できると期待できる。これらの成果は集積化単一光子LED開発の重要な基盤技術と位置づけることができる。
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