導波路型の偏波変換器の設計法を確立した。特に光軸回転角の評価にポインティングベクトルを導入する手法を提案した。スカラー的にパワーを計算し、光軸を評価していた従来手法に比べて、精度が向上することを明らかにした。 基板上に金属ストリップを装荷する偏波変換器において、金、銀、銅の三種類の金属を取り上げ、変換特性に及ぼす効果を明らかにした。金属幅の再設計を行うのみで、どの金属を用いても、光通信波長帯で偏波変換特性が得られることを明らかにした。さらに、空気に接するクラッド層表面に金属ストリップを配置すると、低損失に偏波変換特性を実現できることを見出した。 強調された増幅係数を利用した虚軸ビーム伝搬法を周期構造に適用できるように拡張した。Yee格子に基づいて定式化されており、既存のFDTD法との親和性が高い手法である。長方形開口の周期列からなる偏波変換板に応用し、従来手法に比べて短時間にモード解析の行えることを明らかにした。また、直線偏波を90度回転させる、いわゆる1/2波長板に関して、同じ変換板を45度ずらして積層する新たな構造を提案した。いかなる偏波面の入射波であっても、常に偏波面を90度回転できることを見出した。 周期的に開口を設けた金属板の両面を誘電体で挟む偏波変換器も提案した。長方形の開口部を設けて、入射偏波を45度傾けることで、1/4波長板として動作することを明示した。誘電体で入出力面を挟むと、異なる周波数で、右旋、左旋の両偏波が得られる特徴のあることを明らかにした。
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