研究課題/領域番号 |
26420328
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研究機関 | 神戸市立工業高等専門学校 |
研究代表者 |
荻原 昭文 神戸市立工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (00342569)
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研究分担者 |
小野 浩司 長岡技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10283029)
垣内田 洋 独立行政法人産業技術総合研究所, その他部局等, 主任研究員 (40343660)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 液晶 / 高分子 / レーザ / 分光 / 回折 |
研究実績の概要 |
液晶と高分子の相分離構造に基づき形成される微細格子構造においては、高分子ネットワーク中の三次元構造に対する液晶分子配向が影響していることがわかってきている。本年度は、液晶分子配向形成による光制御型デバイス開発を進めるため、微細格子構造における格子間隔を微細化させた場合におけるデバイス内の液晶分子の作用を明らかにすることに取り組んだ。具体的には、二光束レーザ照射時における媒質内での強度分布を狭い領域に集中するためにプリズムの液浸を用いてレーザの交角を大きく設定した。このことにより、格子間隔を従来行ってきた1μmから0.25μm程度まで微細化させたデバイス作製を行うことが出来るようになった。実際に、0.25μmの格子間隔で作製したデバイスにおいて、p偏光に対する回折効率を50%程度まで確保することが可能になった。 さらに、作製したデバイスの光学特性評価と、回折効率の理論式の異方性解析とを進め、実験値及び理論値とを比較検証することで、三次元構造からなる格子間の屈折率異方性を算出した。この結果より、p偏光に対する回折効率は、s偏光の回折効率に比較して10倍程度大きくなっており、微細化された構造中においても液晶の配向状態が保持されていることが明らかとなった。 さらに格子間隔を微細化した状態で格子形成方向を変化させるための光学システムの構築を試みたが、反射特性を有するような多層膜状の格子形成を行うと回折効率が低下する問題が生じた。このため、ネマティック液晶にカイラル剤を添加して内部に液晶分子のらせんねじれ作用による多層膜状の構造を発現させることを試みた。カイラル剤の種類と添加量を様々に検討することで、可視域(400~650nm)から赤外領域(800~1000nm)に渡る広い範囲において、波長選択反射作用を生じさせることが可能になり、分光制御型デバイスへの応用可能性が明らかとなってきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度に計画していた液晶高分子複合体材料に対するレーザ照射による三次元微細構造を有するデバイス作製を行った。このデバイスの光学特性解析に取り組み、液晶配向状態を明らかにすることができた。また、これらの研究成果をまとめることで国際会議での発表を行った。
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今後の研究の推進方策 |
自律分光制御型デバイスにおける入射光の透過光量制御には、反射機能に基づく光学作用が必要になってくる。二光束レーザ照射によるデバイス作製では、格子間の微細化は可能であるが、格子の形成方向を基板表面と平行になるような多層膜構造を整列させた状態において、高い回折反射特性を発現させるのは困難であることもわかってきた。 このため、今後は、ネマティック液晶等へのカイラル剤の添加による液晶分子の自発的な螺旋ねじれ構造を発現させるコレステリック液晶型のデバイス開発を進め、温度変化に対応した自律分光制御型デバイスへの応用可能性を含めて研究を進めていく計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画当初において本年度に購入を予定していたデバイス作製用の一部材料等の入手ができなかったため、未使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
これについては、翌年度分に請求した費用と併せて、デバイス開発を進めるための有機材料等の物品費などに充当していく計画である。
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