研究課題/領域番号 |
26420329
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研究機関 | 大島商船高等専門学校 |
研究代表者 |
高橋 主人 大島商船高等専門学校, その他部局等, その他 (80517095)
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研究分担者 |
中村 翼 大島商船高等専門学校, その他部局等, 講師 (10390501)
古瀬 宗雄 大島商船高等専門学校, その他部局等, 教授 (50633228)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 微粒子除去 / 静電気力 / 付着力 / 異物除去 / 表面洗浄 |
研究実績の概要 |
材料表面に付着した0.1~1μmの微粒子を除去することを目的に研究を行っている.微粒子の除去には,材料表面に塩化ビニルやポリエチレンのプラスチックフィルムをかぶせ,その上から電極を介して高電圧を印加する.フィルムは静電気力で材料に強く押し付けられる.この時,微粒子はフィルムと接触する.材料と微粒子間の付着力よりフィルムと微粒子間の付着力が大きければ,フィルムを材料からはがした際に微粒子が除去できる.したがって,フィルムと微粒子の付着力の特性を把握することが重要であり,塩化ビニルフィルムの付着力特性を,雰囲気温度を変えて評価した.フィルムと微粒子の接触面積が広いほど,両者の間の付着力が増すと考えられるが,高温になるとフィルムが軟化し,より接触面積が広くなると想定した.ところが,塩化ビニルとシリコンとの付着力は,温度が高いほど低下することがわかった.単なる高温化では付着力を増加できないことがわかった. 次にフィルムと微粒子を接触させるための押付力強化策として,材料とフィルム間を真空排気し,大気圧で押し付ける装置を考案試作した.評価試験は今後実施する. 微粒子除去操作の改良版として,高電圧印加電極を板から円筒形にした装置を試作した.これにより,広い面積の微粒子除去を連続して実施することが可能になった.評価試験は今後実施する. 微粒子除去の理論的検討を行う上で,材料表面での付着力を定量的に評価する必要がある.遠心力を利用した付着力測定を実施した.回転数15000rpmの遠心機では2~20μmのガラス球をシリコン表面から除去することができなかった.このことから,付着力はファン・デル・ワールス力相当以上であることを確認した.付着力については,遠心機の回転数を150000rpmまで増加して,継続評価する予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
微粒子を付着させて回収するフィルムは,微粒子との付着力が大きく,かつ清浄でなければならない.塩化ビニルは,その目的にかなうフィルムの一つであるが,フィルムをロール状に巻いて重ねると,フィルム同士が付着してしまう.それを防止するため,1μm前後の粉(微粒子)をフィルム表面に付着させている(粉吹きフィルムと呼ぶ).1μm以下の微粒子除去を実施する上で,粉吹きフィルムは材料表面にフィルムの粉が付着するなどのため使用できない.そこで,フィルムメーカーに粉吹きなしのフィルム製作を依頼したが,メーカーの探索に時間を要し,その後の試験に遅延が発生した. また,対象微粒子が1μm以下になったため,微粒子の個数を計測するのに時間を要するため,実験回数がかせげないことも遅延の一因である. 試験の道具立てがそろったので,今後は評価試験を加速する.
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今後の研究の推進方策 |
1μm以下の微粒子除去試験を実施し,除去効率の評価を行う.その際,フィルムの押付力を強化した真空と大気圧を利用する方式や,円筒電極を用いた除去方式の評価を実施する.円筒電極の方式は,最終目的とする静電清浄化システムのモデルとなるもので,その改良を行う. 微粒子の付着力評価は超遠心式の付着力測定装置で継続実施するが,現状では1μm以下の付着力測定は困難と予想される.2~20μmの付着力測定で1μm以下のそれを推定する. フィルムと微粒子間の付着力強化策として,フィルムのプラズマ表面処理を検討することにしているが,上記の除去試験の結果を見て,必要であれば検討する.
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次年度使用額が生じた理由 |
フィルムの表面を大気圧プラズマで処理し,付着力を改善する装置を購入する予定であったが,その効果が明確でないため,装置の購入(価格80万円)を見合わせた.今後,デモなどで評価した上で,効果が大きいことが判明した場合は,その購入を検討する.
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次年度使用額の使用計画 |
大気圧プラズマ装置は,効果を明確にしたうえで購入を判断する.
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